ストーリー別宮潤一印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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ほぼ全部120円。安さとおいしさで親しまれた街のパン屋さんが、原材料の高騰に苦しんだ末、廃業した。ラストデーの7月25日、工場兼店舗前には朝から行列ができた。 山口県下関市の長寿製パン。1957年に創業した。 3畳程度の売り場には、タマゴサンド、チーズピザ、チョコデニッシュなどの20種程度のパンが並ぶ。値札はない。「直売はほぼ全部、税込み120円ですから」と、店員は電卓もたたかない。 「昔は古いパンが1個5円だったんさ。それを子どもたちみんなでふかし器にかけて食べるんだ。昭和40年ごろの話ね」 最終日に駆けつけた同市壇之浦町の道森幸雄さん(67)は懐かしむ。「ソーセージ入りのロケットパンはここが開発したって話もある」 この日は孫まで3世代でパン14個を買った。娘(43)は「保育園が給食のパンを頼み忘れていた時も、頼めばすぐに配達してくれた。そして安かった」と感謝する。 女性(48)は連日の来店。長府高校時代、学校で売られていた同社のパンが好きだった。「めちゃくちゃ安くて、学校中で人気でした」 お気に入りは、食パンを三角に切って重ね、間にクリームチーズを挟んだ同社名物のトライアングルだ。友達にLINEで連絡し、これからパンを配って回るという。 近くに住む女性(32)は、ニュースで閉店を知り、家族で初めて来店した。店内に並ぶトライアングルを見て「あのパンだ!」と気づいた。高校時代に食べていた。 同社では、山口県パン工業協同組合の理事長を務めた松村豊・前社長が昨年死去。経理を務めていた妻の久美子さん(69)が社長に就いた。 「パンづくりがこんなに大変だったとは」。久美子さんはうめくように言う。 パンの原材料、クリーム、包装紙など、値上げを告げる問屋からの「来月から値上げします」との通達は、昨年9月以降で厚さ5センチにもなった。 特に値上がりが大きかったチ…この記事は有料記事です。残り414文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする







