【社説】ガザ和平の行程表 イスラエルの暴挙止めねば絵に描いた餅だ2026年8月8日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●第1段階のあと半年にわたり停滞していたガザ和平計画で、第2段階を進めるための行程表が発表された●ハマスの武装解除はイスラエル軍の段階的撤退と連動して行われるが、先行きは不透明だ●推進役のトランプ米大統領は、停戦後も攻撃を続けるイスラエルの暴挙を止めねばならない

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どんなに立派な計画を立てても、実現しなければ意味がない。多くの人が苦しみ、命が失われていく状況のなかで、一刻も早い取り組みが求められる。 パレスチナ自治区ガザの暫定統治機関「平和評議会」が、和平計画の「第2段階」を進めるためのロードマップ(行程表)を発表した。 それによると、2007年からガザを統治してきたイスラム組織ハマスは、民政と治安機能をパレスチナ人の専門家らでつくる行政委員会に移す。ハマスなどの武装組織の武器や軍事施設、トンネルはイスラエル軍の段階的撤退と連動して、行政委員会が廃棄・保管する。 23年10月のハマスによる奇襲攻撃で始まったイスラエルのガザ攻撃は、2年後に停戦した。トランプ米大統領が打ち出した和平計画を双方が受け入れたからだ。 26年1月までに、ハマスが捕らえていた全人質を解放し、イスラエル軍はガザの半分の地域から撤退して第1段階はおおむね完了した。 しかし、復興に取り組む第2段階は、翌月の米国とイスラエルによるイラン攻撃などで事実上棚上げされた。 約半年間にわたり停滞していた和平計画が再び動き始めるのであれば歓迎する。 7万3千人以上の死者を出したガザでは、深刻な人道危機が続く。人口の約3分の2にあたる140万人が食料不足に直面する惨状を見過ごすわけにはいかない。 ただ、ハマスの武装解除の行方は不透明だ。 イスラエル軍は「差し迫った脅威」などを理由に空爆を続けている。支配地域も再び拡大し、6割以上を管理下に置いている。ガザ保健省によると、停戦後の死者は1200人を超えた。世界の関心がホルムズ海峡に集まる陰での暴挙は許しがたい。 ハマスは武装解除の条件として、イスラエル軍の攻撃停止と撤退を主張する。ところが、イスラエルのネタニヤフ首相と会談した平和評議会のムラデノフ上級代表は、「撤退は武装解除の完了後だ」と表明した。 ハマスの反発は必至だ。自ら示した行程表と矛盾する発言をして、事態を複雑にする評議会の姿勢には首をかしげざるを得ない。 評議会の議長であるトランプ氏は「歴史的な合意に達した」と誇った。その言葉の前に、イスラエルに行程表を受け入れさせ、空爆の停止や軍の撤退を認めさせることが不可欠だ。国際社会もガザを置き去りにせず、関与を続ける必要がある。ガザ和平第2段階へロードマップ 武装解除とイスラエル軍撤退を連動「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません