【社説】中国念頭の日印の連携 開かれた協力で地域の成長と安定を2026年7月3日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●日印首脳会談は安全保障や経済安保など、両国関係の一層の強化を確認した●「同志国」との供給網構築では、排他的なブロックにしないよう注意が必要だ●両国の共通の利益を追求するだけではなく、地域の成長と安定につなげたい
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中国が経済的威圧や強引な海洋進出を続ける一方で、米国はイラン攻撃によって世界経済に大きな混乱をもたらした。国際情勢が不透明さを増すなか、日印両国の共通の利益を追求するだけではなく、国際秩序の立て直しや地域の平和と安定につながる協力関係を築けるかが問われる。 高市早苗首相がインドを訪れ、モディ首相と会談した。安全保障、経済安保・エネルギー、経済成長の3分野で協力を確認する共同声明を発表。半導体や重要鉱物などの供給網強化、石油備蓄での協力、海洋安全保障の拡大でも一致し、人工知能(AI)に関する共同声明もまとめた。 インドは中国を抜いて、世界最大の14億超の人口を抱え、高い経済成長を続ける。グローバルサウスの代表格としての存在感も高い。 日本にとっては、巨大市場への期待だけではなく、エネルギー、先端技術、重要物資の供給網など、さまざまな分野で「相互補完的な協力」を深められる相手といえる。 なかでも経済安全保障が、今回の会談の大きな柱となった。「同志国」との間で供給網を構築し、経済的威圧への耐性を高める狙いがある。ただ、排他的な経済圏づくりや分断につながっては本末転倒だ。地域全体の安定と繁栄を支えるものにしたい。 インド洋などの海上交通路の安全は、日本の経済活動にも直結する。艦艇に搭載する通信用アンテナの日本からの輸出について大枠合意に達するなど、防衛装備や技術面の協力もうたわれた。透明性の確保など、周辺国の不信を招かないような配慮が必要だ。 安倍晋三元首相が提唱した日米豪印の戦略対話「クアッド」は、中国包囲網の性格を強めれば、地域の支持は広がらない。第2次トランプ政権では、首脳級の会合は開かれていないが、関税問題でこじれた米印関係の修復を含め、地域に具体的な利益をもたらす協力の枠組みとして育てていく役割が日本にはある。 日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)と、モディ氏が提唱する「マハーサーガル」(ヒンディー語で「大洋」)構想は、地域の国々が自らの発展と安定を支える環境を整えるという点で響き合う。 ただ、非同盟の伝統を持ち、外交の自律性を重んじるインドに対し、日本はFOIPを排他的な戦略として押し出すのではなく、インドの自主性を尊重すべきだ。AI人材の日本への招請など、双方の利益が重なる分野を広げ、両国関係を地域の安定と成長につなげる必要がある。【そもそも解説】自律って? 高市首相が表明する新たなFOIPとは「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません










