インタビュー台湾でまつられる「日本神」 映画監督が考える、人々が向き合う意味比嘉展玖 御船紗子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
[PR]
台湾南西部の小さなお寺に、かつて零戦で米軍と戦い、亡くなった日本兵が「神」としてまつられている――。それは、台湾が「親日」だから? いや、話はそれほど単純ではないようだ。 台湾の「日本神」の謎に迫るドキュメンタリー映画「軍服を着た神様」が、8月から順次、全国で公開されている。日本神は親日の象徴か? 監督は、岩手三陸が舞台の記録映画「廻(まわ)り神楽」などを制作してきた遠藤協(かのう)さん。文化人類学者の藤野陽平さんと台湾各地を巡った。 海に捨てても戻ってくる卒塔婆(そとば)、オレンジ色のコウモリ、火葬場跡に寝泊まりする男性、「日本神」を身に宿すシャーマン――。 作中では、不可思議な出来事の連なりを追うなかで、「日本神」は、かつてそこで生きた日本人だったことがわかる。そして、いまを生きる人々との交わりや、日本が台湾に残した戦争の痕跡も浮かび上がる。 台湾各地でまつられる軍服姿の「日本神」は、「親日」の象徴として語られがちだ。しかし、徹底した現地調査から見えてきたのは、異なる実態だった。藤野さんは、「私たちが感じた魅惑的で摩訶(まか)不思議な感覚に皆さんも引き寄せられ、よりディープな日台交流のきっかけになれば」とコメントした。「戦後」との向き合い方 監督のまなざし 台湾の民間信仰を、現地の人々の営みや、日本の子孫たちを通して描いた「軍服を着た神様」。遠藤協(かのう)監督は、台湾での「不可思議」な体験や、撮影取材を通じて、日本と台湾の「戦後」との向き合い方を考えたという。 ――なぜ、日本人が台湾で神になったのでしょう? 台湾には、かつて生きていた人を神としてまつる民間信仰がある。非業の死を遂げたり、適切に供養されていなかったりする死者の霊魂が、生きた人間にたたることがある。たたりを鎮めるために供養するうち、ご利益が出て神になる。日本のお地蔵さんのように身近な神様として存在する。 取材した「日本神」の多くは、台湾が日本の統治下にあったころの軍人や、その家族とされる人物だった。 ――日本人だけがまつられている? 当然、台湾人の神様もいるし、オランダ人やフランス人をまつる廟(びょう)やほこらも存在する。信仰は台湾的な死者の受け入れ方であり、異邦人であっても同じように扱うのは、台湾人の懐の深さとも言えるだろう。文化人類学者の藤野陽平さんと台湾各地を巡ったという、遠藤さん。記事の後半では、6年にわたる取材から見えた「日本神をまつる意味」について語ります。 ――例えばどういった日本神がいましたか? 作中にも登場する飛虎(ひこ…この記事は有料記事です。残り1104文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






