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7月28日の熊本地震発生からまもなく1カ月になるが、被災地にはいまだ断水に苦しむ人たちがいる。そんな中、能登の恩を熊本で返そうと、能登半島地震を経験した人たちが、長い断水の間に培ったノウハウを生かして給水支援を続けている。 海に面して住宅街が広がる熊本県八代市の地図上に、水滴のマークのピンが並ぶ。青い水滴は「給水済み」、黄色は「そろそろ給水」、赤は「要給水」。一般社団法人「能登乃國百年之計」(金沢市)がつくったウェブ上の「給水マップ」だ。 最大震度6強を観測した八代市は人口11万7千人で水道普及率が約52%。飲料水や生活用水を井戸水に頼る世帯が多く、市によると、地震後に井戸水が枯れたり濁ったりして影響が出ていると申告する世帯が約4400世帯に上る。 能登乃國百年之計は、こうした世帯に生活用水を届けるボランティア活動を続けていて、福祉施設や集会所、医院や個人宅など計29カ所に給水タンクを設置した。ポンプとホースを使ってタンクから建物内に水を送り、トイレや洗面、風呂などを使えるようにする仕組みだ。タンクが空になる前に水を補充する必要があり、マップはボランティア間で給水が必要な場所の情報を共有するために使っている。 この仕組みをつくった岩城慶太郎・副理事長(48)は「水がない生活がどれだけ不便かも、どうすればそれを取り戻せるのかも知っている。動かずにはいられなかった」と言う。 岩城さんは2024年元日の能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市在住の会社役員。地震と8カ月後に能登を襲った豪雨で、長期間の断水を経験した。復興のために立ち上げた能登乃國百年之計で長期的なまちづくりに取り組む一方、豪雨の後には断水地域での暮らしを支えるため、4カ月余りにわたって給水支援を続けた。全国から集まったボランティアの中には、熊本県から来てくれた人もいた。 今回の熊本地震から6日後、岩城さんは能登で使っていた給水ボランティアのLINEグループに書き込んだ。「みなさん、こんばんは。八代市が断水です」「また給水ミッションを組み立てようと考えています」 グループのメンバーはみるみる増えて100人超に。活動拠点や資機材などの体制を整え、今月8日から熊本で給水支援を始めた。 八代市松崎町の福井一生(かずお)さん(41)は7人家族に加え、避難してきた親戚の計9人で暮らしていた。地震以降、自宅で利用していた井戸水が枯れてしまい、2日に1度、入浴できる場所を求めて転々とする生活を3週間近く続けていた。能登乃國百年之計のチームがタンクを設置し、自宅でシャワーも使えるようになった。「こんな方法があるのだと驚いた。すごく感謝している」と言う。 近所には、同じように井戸が枯れて悩む家庭がいくつもある。福井さんは妻とともに、給水支援の現地スタッフとして活動の一翼を担い始めた。口コミやSNSなどで情報は広がり、能登乃國百年之計には、設置を希望する問い合わせが毎日10件以上寄せられているという。 井戸を掘り直して復旧することができるのか、別の方法を探らなければならないのか、まだ見通しはたたない。寄付やボランティアの力で給水を続ける岩城さんたちが担うのは復旧までの「つなぎ」だ。継続的に給水できる規模を考えると、給水車をもう1台増やせたとしても60軒程度が限界で、井戸に不具合があると見込まれる4400世帯の1%余りに過ぎない。 ただ、岩城さんは能登での経験もふまえて、「ベンチャー的に動ける民間と、公平にきちんと進めなければならない行政とでは初動の早さが違う」と言う。「たとえ必要としている世帯の1%だとしても自分たちが応急的に自宅で水を使える仕組みを整えることで、それを突破口にして行政の対策も進むといい」と話した。寄付やボランティア募集 能登乃國百年之計では、給水支援のための寄付や資機材、現地で活動できるボランティアを募っている。 支援を求める断水世帯と支援者を結びつけて月々の寄付で支える「みんなの水」という試みも始めた。「I様 6人世帯 井戸の水が全く出ない状態です 月額9千円」のように、匿名化された世帯の断水状況や給水に必要な金額をサイト上で示し、支援者が世帯を選んでマンツーマンで復旧するまで寄付を続ける仕組みだ。 問い合わせは岩城さんへメール(iwaki@notonokuni.or.jp)で。