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吹奏楽の往年の名曲から、オペラの名曲まで。広島市の広島文化学園HBGホールで24日にあった全日本吹奏楽コンクール中国大会高校の部では、高校生たちがひと夏をかけて磨いてきた美しいハーモニーとドラマチックな音楽の数々が、観客を魅了した。全団体の審査結果はこちら瀬戸内 瀬戸内(広島)は、出番が一番最初だからこそ、全団体の演奏が終わるまで審査員や観客の心に残る演奏をしよう、と意気込んで舞台に上がった。 舞台のひな壇下中央に鍵盤打楽器を置く配置で、壮大な宇宙の旅を描いた「交響曲第7番『タイタン』」(ジルー作曲)を演奏。一人ひとりが各フレーズのニュアンスを変えながら生き生きと奏でつつ、バンド全体でまとまって一つの音楽の流れをつくり、銀賞を受けた。 表彰式の後、部長でフルートの泉咲綺(さあや)さん(3年)は「部員みんなが楽しんで演奏できたので悔いはありません」とほほえんだ。おかやま山陽 おかやま山陽は、歌劇「トスカ」(プッチーニ作曲)のアリア「歌に生き、愛に生き」のメロディーを、フルートが表情たっぷりにうたい上げた。ホルンやトロンボーンが美しいハーモニーを聴かせる演奏で、金賞に輝いた。出雲商 出雲商(島根)は、銀賞を受けた。金管楽器のクリアなサウンドで、自由曲の「科戸(しなと)の鵲巣(じゃくそう)」(中橋愛生作曲)の祝祭的な雰囲気を見事に演出した。 部長でフルートの土江菜々さん(3年)は、オーボエと2人でソロの掛け合いを美しく奏でた。「オーボエの孤独を慰めて、勇気を与える感じ」で演奏したという。「完璧まではいけなかったけど、達成感がある。みんなの頑張っている姿を見られて、それがうれしくて今日の演奏に自分も感動しました」如水館 如水館(広島)は、自由曲で「くじゃく」(コダーイ作曲)を演奏。低音が提示する民謡の旋律が連なっていき、大きな音響となってホールいっぱいに広がっていくさまが見事な演奏だった。変奏ごとに音色や表情を変えていく色彩感豊かな演奏で、金賞に輝いた。 部長でサックスの小田結愛さん(3年)によると、中国大会に向け、音の長短をそろえて奏でられるように、パートごとの練習を繰り返したという。「練習したことが100%発揮できたとは言い切れないけれど、自分たちなりの演奏を届けられました」と語った。米子北 米子北(鳥取)も、プッチーニの歌劇「トスカ」に挑戦。銅賞を受賞した。部長で打楽器の大麻雛羽(おおあさひなは)さん(3年)によると、生徒で行う合奏の中で、「トスカになりきって歌い踊る」ことで、ドラマへの理解を深めたという。 主人公トスカのアリアの旋律を奏でたアルトサックスの佐伯心優(さえきみゆう)さん(2年)は「ソロでは緊張したけど、先輩が舞台袖で『頑張ろうね』と声をかけてくれて、自信を持って演奏できました」と笑顔で話した。広島国際学院 自由曲にリムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」を演奏した広島国際学院は、金賞に輝いた。シンフォニックな響きをもったサウンドと、クラリネットの技巧的でありながら叙情豊かな演奏が光った。 クラリネットのソロを奏でた部長の中西瑞生さん(3年)は「見ても楽しい、聞いても楽しい、そして奏者みんなが楽しい演奏ができた。客席をスペインの街に染め上げられたと思います」と笑顔だった。出雲 出雲(島根)はヴェリズモオペラの名作「カヴァレリア・ルスティカーナ」(マスカーニ作曲)を演奏。復活祭の合唱の旋律をユーフォニアムやホルンが、厳かに、かつ輝かしい響きでうたい上げた。結果は銀賞だった。修道 続く、修道(広島)も、吹奏楽でオペラの世界に迫った。歌劇「トゥーランドット」(プッチーニ作曲)の冒頭、役人が群衆に呼びかけるシーンから、ユーフォニアムの朗々としたうたで、客席を壮大なドラマに引き込んだ。 有名な「誰も寝てはならぬ」のオーボエの旋律も秀逸。金管中低音や打楽器も音を荒らすことなく、迫力あるドラマを鮮やかに表現した。結果は銀賞。フルートの福永顕市さん(3年)は「トゥーランドット姫に愛を伝える王子のように、男子高校生の等身大の愛をホールに届けられました」と胸を張った。就実 就実(岡山)は自由曲「アルプス交響曲」(R.シュトラウス作曲)で、ホルンが高音のフレーズを伸びやかに鳴らし、そこから色彩を変えるように和音の響きを変化させていくところが際立っていた。和音をフォルテで鳴らしたときの発音や響きも力強く美しい演奏で、金賞に輝いた。防府 防府(山口)は銀賞を受賞。バレエ音楽「火の鳥」(ストラビンスキー作曲)の細かな音型パターンの繰り返しを、クラリネットが丁寧に、緻密(ちみつ)に奏でた。弱音のホルンが高音のメロディーを美しく奏で、徐々に姿を現すようにクレシェンドしていくさまは見事だった。 部長でトロンボーンの前坂凛香さん(3年)は「小さなミスがあったかもしれないけど、悔いなくやりきったかな。学年に関係なく仲がいいところが強みで、みんなが満足する、いい演奏になったと思う」と振り返った。広島翔洋 金賞に輝いた広島翔洋は、自由曲に「エルフゲンの叫び」(ローレンス作曲)を選んだ。北ヨーロッパにあるとされる神話上の王国を舞台にした戦いの物語。バスクラリネットやユーフォニアムに、16分音符の速い動きがとめどなく続く難曲だ。素早くも正確な指使いで音の粒をはっきりと聴かせるように演奏し、戦いの激しさや緊迫感を際立たせた。 ユーフォニアムを担当したのは中本光季(みつき)さん(2年)と宮脇琉衣(るい)さん(2年)。広島県大会では、動きにばらつきが生じたり、お互いのテンポがずれたりと課題が残ったという。中国大会に向け、2人でメトロノームに合わせた練習を繰り返した。 「光季が息を吸うタイミングで自分が奏でる部分で、光季の息づかいを信じて演奏に入れた」と宮脇さん。中本さんは「2人で音を合わせるためにずっと練習してきた。その時間を信じ、練習の成果を発揮できました」とほっとした表情を見せた。防府西 防府西(山口)も金賞を受賞。自由曲「ワイルド・グース」(ジョージ作曲)の細かなリズムの断片を組み合わせることで、ドラマチックな音楽を織り上げていくような演奏。ユーフォニアムの技巧的なソロの美しさも際だった。比治山学園 比治山学園(広島)は銀賞を受賞。自由曲「アルメニアン・ダンス パートⅡ」(リード作曲)の前半部分で、金管中低音を豊かに響かせて、生活に苦しむ農民の姿を繊細に描いた。一転、速い2拍子の舞踏音楽となる後半は、農民の怒りや抗議といった感情を、熱狂的でも音の粒を荒らすことなく表現した。 情景への理解を深め、歌ってリズム練習もできるようにと、曲のメロディーに物語性のある歌詞をつけた。部長で打楽器の河合和奏さん(3年)は「部員みんなが舞台の上で思い描くイメージが、同じであることが大事」と話す。 力強く熱気に満ちていく曲のため、河合さんは「心は熱く、頭は冷静に」と部員たちに声をかけてきたという。「観客にも場面がいきいきと伝わるような演奏ができました」 ◇ 浜松市で開かれる全日本吹奏楽コンクールに進む中国代表には、昨年と同じ3校が選ばれた。出雲北陵 表彰式で最初に名前が呼ばれた出雲北陵(島根)は、歓声をあげて喜んだ。部長でアルトサックスの本田友華さん(3年)は「表彰式ではすごい不安で震えていたが、(客席から)歓声が聞こえて『あっ』となった」とほっとした様子で語った。 自由曲では、超絶技巧やホルンの超高音がある難曲「フェスティバル・バリエーション」(スミス作曲)を、アクセントを効かせながら全員が楽しげにリズムを感じて演奏。ムーディーな和声進行を一体となってうたい込んだかと思うと、細かなパッセージを華麗に受け継いでいく圧巻の演奏に、終わるやいなや割れんばかりの拍手が起きた。明誠学院 2校目は、毎年クラシックの歴史的な名曲に取り組んでいる明誠学院(岡山)。今年はファリャの「三角帽子」に挑戦した。 毎年、管弦楽作品の響きや作品の本質に吹奏楽で迫っている。今年も倍音を豊かに含んだ深みのある響きや、木管低音とコントラバスでつくる弦楽器のような表情が際だっていた。クライマックスの踊りもきわめて上品に、一音一音の響きを壊さないように演奏した。 部長でユーフォニアムの竹内心雪(こゆき)さん(3年)は「今日できる最高の演奏ができたけど、まだ曲を深められる。全国大会までまだ練習できるのがうれしい。明誠にしか出せないサウンドや表現を深めたい」と抱負を語った。岡山学芸館 吹奏楽の大作曲家リードの作品に取り組み続けている岡山学芸館が今年も中国代表に選ばれた。 自由曲は、リード作品の中でも最も有名な「アルメニアン・ダンス パートⅠ」。吹奏楽をした人なら誰でも知っている名曲を、正確で緻密な音と一人ひとりの豊かな歌心で多彩に表現。曲の終盤の熱狂も、バランス良く確かなリズムとハーモニーで美しく奏でた。 部長でトロンボーンの田渕唯人さん(3年)は「みんなやりきった演奏ができたし、結果につながって良かった。全国大会にむけたビジョンはまだ見えていないが、まだまだ曲を深めるためにできることがある。全国でも『やりきった』という気持ちが残る演奏がしたい」と話した。その他の出演団体の写真