【動画】今年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲4曲について、参考演奏を担当した東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスター、林田祐和さんに演奏のポイントを聞いた=時津剛撮影
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全日本吹奏楽コンクールの予選大会で、大編成の部門に出場する団体は4曲ある課題曲から1曲を選んで演奏します。課題曲はどんな雰囲気の曲で、演奏する上でのポイントは――。参考演奏を担当した東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターで、サクソフォン奏者の林田祐和さん(44)に聞きました。情景的な曲、「エモい」表現を 課題曲Ⅰ課題曲Ⅰ「夕映えの丘」(森山至貴作曲)=第35回朝日作曲賞受賞作品 夕暮れ時の感傷的な気持ちが曲の隅々にちりばめられた、情景的な曲です。柔らかい、温かい音色が求められます。メロディーがすごく美しいので、歌心を持って演奏して下さい。メロディーラインはシンプルですが、音色や音程、ハーモニーを合わせるのはすごく難しい。フレーズに歌詞をつけるように、音楽で文章をつくることを大事にしてほしいです。曲のメリハリをつけるのが難しいですが、フレーズのどこが頂点で、どこに向かっているのか把握しながら演奏しましょう。 この曲に限らず、発音で音色の印象が決まります。柔らかい音は柔らかいタンギングで、場面によってコントラストをつけて印象を変えるといいと思います。 テンポが速くなっていく練習記号Eからは、汽車が未来に向かって走るようなエモい表現を。現役世代は青春時代のエネルギーを出せばいいし、大人は若い頃の追憶、のイメージでしょうか。淡い青春の表現は、その時にしかできません。各世代で一番いい表現ができることを楽しみにしています。重厚なマーチにも和音のテンションを感じて 課題曲Ⅱ課題曲Ⅱ「ザ・ガーズ」(星出尚志作曲) 英国の衛兵のように、びしっとした感じが曲全体にあります。軽くステップを踏むのではなく、どしっと地面に足をつけるようなステップで、重厚なマーチにしましょう。エルガー作曲の「威風堂々」の雰囲気をイメージするといいかもしれません。 フレーズがすごく長いので、息継ぎ(ブレス)の場所をどこにするかが大変です。フレーズが切れないように瞬時に吸っていますが、ブレスの場所を何人かで変える、という工夫をしてもいい。ただ、リズムが甘くならないようにしてください。 付点音符がつまったり、細かい音がすべったりしないためには、拍の長さいっぱいに感じて、その中でカウントしながらリズムをとると、安定します。 意外な和音に行くところが、作曲家のこだわりの部分だと思うので、和音のテンションを感じながら演奏すると自然な表現になるでしょう。発音の使い分けで多彩なキャラクターを表現 課題曲Ⅲ課題曲Ⅲ「あつまれ おもちゃのマルチャ!」(伊藤士恩作曲) おもちゃといっても、人形やブリキのロボットのようなイメージ。聴いていても吹いていても、色んなキャラクターが出てきて場面転換もいっぱいの、飽きないし楽しいマーチです。普通の和音進行から外すことで、おもちゃの滑稽さを表現しているし、テーマもおもちゃっぽい。ただ、同じ音の連打が多いので、タンギングがつながってしまうと小気味よさがなくなって、おもちゃの雰囲気が出ないので注意しましょう。「ラララ」と発音するレガートタンギングと、「トゥトゥトゥ」のスタカートを使い分けられるようにしてください。 同じ動きをする楽器が多いですが、発音やニュアンスがそろうと、すっきり聞こえると思います。リズミックなところが難しいですが、アンサンブルとして説得力を失わないように、テーマをしっかり合わせるようにしましょう。解説でヒント得て分析していく楽しさ 課題曲Ⅳ課題曲Ⅳ「管楽器のためのフィナーレ」(伊藤康英作曲) 色んな音楽がパッチワークのようになって、全体で一つの形をなしています。一部だけ見ると分かりませんが、慣れると構成があり、全体的な流れやつながりを感じる。かっちりとした建築物というイメージがあります。 「フィナーレ」がいきなり始まりますが、長大な1~3楽章があって、そこでのモチーフが凝縮されて出てくるイメージでしょうか。フィナーレなので「さあ、いよいよ」というテンションで始めないといけないのは難しい。作曲者自身が解説動画で説明されているので、そこでヒントを得て分析していくと、設計図が分かって面白いのではないでしょうか。 それを奏者が解釈し、表情にどう生かしていくか。楽語も細かく書かれているので、しっかり頭に入れて流れをつくらないと、構成感に欠けた演奏になってしまいます。 取り組みがいのある曲で、確実に技術は伸びます、色んなモチーフや速度の変化、ハーモニーまで、音楽に必要な技術力が付くと思います。演奏に関しては、研究も大事ですが、楽譜から得られるインスピレーションも大事にしてください。感覚鋭く、楽譜のテンポを守りながらいろんな解釈があっていいと思います。大事なことは、説得力のある演奏かどうかです。 はやしだ・ひろかず 宮崎県出身。東京芸術大学、同大学院修了。中学校で吹奏楽部に入り、サックスを始める。中学生の時に演奏を聴いて衝撃を受けた東京佼成ウインドオーケストラに2013年に入団。23年からコンサートマスター。






