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(15日、第108回全国高校野球選手権大会3回戦 仙台育英6―3拓大紅陵) 「愛してる」なんて叫ばなくても、アルプス席からの熱量は打席に届く。拓大紅陵は、名物の吹奏楽部の応援と一体となった反撃をみせた。 4点を追う六回。1死二、三塁で相手は背番号1を送り込んできた。打席には6番加治征樹。ボルテージの上がった演奏に「こんなにも自分たちを応援してくれる人がいる、と改めて感じた」。勇気をもらい、初球を中前にはじき返す。続く阪本幹太は、左打席で音色に合わせてリズムを取った。「ノリノリな気分にさせてもらえた」。肩の力を抜いて流し打ち。左前に適時打を放った。 八、九回にも先頭打者が安打で出塁して得点圏まで進み、全国に広まる応援曲「チャンス紅陵」の演奏を引き出した。他校には「愛してる」のかけ声が入るアレンジもあるが、本家にはない。 大会前に「応援に乗って、見ている人をワクワクさせる野球がしたい」と語っていた主将の加治は「あきらめない姿は見せられたと思う」。チーム計12安打。試合後に甲子園を包んだ温かい拍手が観客からのアンサーだ。仙台育英監督「特別な空間だったな」 仙台育英(宮城)は拓大紅陵(千葉)の追い上げを振り切り、8強入りを決めた。 仙台育英は一回に3点を先制し、主導権をつかんだ。四回表、仙台育英の攻撃中に雨が強まり、試合が一時中断された。 試合後、仙台育英の須江航監督は「開幕試合をやって、2回戦で1―0のしびれる試合をやって、3回戦で中断。そんなに経験できるものではないので、本当に夏休み、いい思い出だなと思ってやらせてもらった」と振り返った。 先発の2年生右腕、福井勇翔は中断後の四回を無失点でしのぐなど、六回途中3失点(自責点は2)と粘りの投球を見せた。 福井について、須江監督は「三回までいってくれれば、100点と思っていた。福井君は200点以上、2千点ぐらいでいいんじゃないですかね」と手放しで褒めた。 試合が再開された後の投球についてはこう語った。 「ピッチャーって本当に難しくて、僕なんか(高校時代は)補欠なんで、ピッチャーの気持ちなんか全然わかんないんですけど、投手は繊細。中断後の四、五回をちゃんと抑えたのが勝因だと思います」「特等席に座っているみたいな感じ」 終盤はスタンドの後押しを受けた拓大紅陵の猛攻を受けた。高校野球の定番曲となっている「チャンス紅陵」が流れると、須江監督は喜びも感じたという。 「雨が降っても、どなたも帰らなかった。野球愛が深い人たちが集結して、そこに高校野球の歴史ある『チャンス紅陵』が乗っかって、特別な空間だったなと思います」 「僕はただ高校野球ファンとして、監督ではなくて、特等席に座っているみたいな感じだった」 波乱を期待する球場の雰囲気との立ち向かい方を問われると、こう語った。 「甲子園の魔物とか、甲子園の雰囲気を乗り越える方法はないので、乗っかるだけです。自分たちがこれを乗り越えるんじゃなくて、その空間の中に自分たちも溶け込んでいくことの方がいいと思います」 さらに「コントロールできないことでストレスを感じるのはナンセンスだと思うので」と付け加えた。