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「推し活」の沼 ~救いか、依存か~(7) 「恋とは違う。付き合いたいわけじゃない。ただ、自分を認めてほしかったんです」 東京都の40代男性は、1年半ほど前まで、女性地下アイドルの世界にどっぷりとつかっていた。その過程で、背負ったものがある。 借金150万円。今も返済中だ。全て、推しと会うことに捧げてきた。人はなぜ推しに救われ、振り回されるのか。ままならない日々の苦しみから逃げるように、時間とお金を「推し」へつぎ込み、依存を強めていった男性。行き着いた先は……。 きっかけは、約6年前までさかのぼる。 新型コロナウイルス禍により、長年観戦してきたプロ野球の試合が中止に。代わりに配信動画を見るようになった。 あるとき何げなく視聴した、地下アイドルグループの雑談映像で、メンバーの1人に目がとまった。 「アイドルだけど、高嶺(たかね)の花って感じじゃない。人なつっこい話し方で、親しみやすそうだな」 緊急事態宣言が明け、グループメンバーらがステージ活動と兼務しているカフェに行ってみた。 現れた生身の彼女は情に厚く、10歳以上も年上の自分に、気さくに話しかけてくれる。 それまでアイドルに興味などなかったのに、瞬く間に引き付けられた。 以来、女性の稼働に合わせて、隔週でステージとカフェを行き来するようになった。「推し」になぜ依存するのか 終わりなき熱狂の正体 心理学者が解く承認欲求が満たされ、病みつきに 公演後は、女性と2人きりで記念のインスタントカメラ写真を撮った。1枚、約1500円。1分間のトークタイムもつき、推しを独占できると思えば安いものだった。 「来月の自分が、きっと何とかしてくれるはずだ」。交通費やドリンク代を含む費用を、クレジットカードで支払った。 グループ全体だけでなく、そのうちの特にお気に入りメンバー1人を支持する「単推し」ファンが、その女性にはあまり付いていなかった。 そこで、自分は彼女にぞっこんだと伝え、仲良くなるために交流を重ねた。 SNS上でも、応援のコメントを頻繁に投稿した。すると、本人からの「いいね」が次々とついた。 グループは月1回だけ、メンバーから返信が届く日をもうけていた。他のファンに単文のテキストを送るだけの彼女が、自分には字数上限いっぱいのメッセージをくれた。 「あの子の一番のオタク(熱狂的ファン)は、あなただよ」 いつしか推し活仲間から、そんな風に評価され始めた。得たことのない優越感に、胸が満たされてゆく。病みつきになった。 同時に、「自分が推しを支えなければ」という責任感にも似た思いに突き動かされて、散財が止まらなくなった。カードローン、加速させたのは…… コロナ禍で生活が様変わりし…