インタビュー2026年8月8日 11時00分土肥修一印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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熊本地震の発生から10日。発災当初、現地の医療現場では何が起きていたのか。10年前の地震の教訓が生かされた点や、今後の被災地の医療・ケアに求められることは何か。災害拠点病院として、地震直後から救急患者の対応にあたっている熊本赤十字病院(熊本市)の長谷川秀副院長に聞いた。 地震が起きたとき、私は救命救急センター4階の会議室にいました。2016年のときは震源がより近かったため、ドンッと突き上げるような揺れでしたが、今回は横揺れで、震源から少し遠いのではと感じました。 すぐに院内の災害対策本部が設置されるセンター1階の事務室へと向かいました。日ごろから災害時を想定した訓練を繰り返してきたこともあり、周りの職員たちも慌てずに対応していました。 地震発生から10分後に災害対策本部を立ち上げ、職員や院内の建物の被害がほとんど無事ということで、全面的に受け入れることにしました。 一般の外来診療は7月31日まで休止し、手術や検査を予定していた40~50人ほどの入院患者さんに一度退院してもらい、病床を空けました。 28~31日の4日間で、計370人の救急患者さんを受け入れました。イオンモール熊本から救出された患者を含め、95件の救急搬送に対応したほか、被災した熊本南病院(熊本県宇城市)の入院患者13人を地震当日の夜から翌日の早朝にかけて受け入れました。 当初は、外傷や骨折をした患者の治療が多くを占め、7月31日までに15人の手術を行いました。足の切断や骨盤骨折、脊椎(せきつい)損傷といった難しい手術を担い、太ももの骨折などは周辺の医療機関で治療を受けてもらいました。 2016年の熊本地震では、情報が交錯し、院内の指揮命令系統が混乱するなどの課題を残しました。それを踏まえてBCP(事業継続計画)を見直し、災害が起きた際、時系列ごとに誰が何をするのか、想定外のことが起きることを踏まえながら職員間で話し合い、役割分担を明確にし、指揮命令系統を一元化。訓練も年8回実施してきました。 そのおかげで、30分以内にどんな患者さんでも受け入れられる体制を組むことができ、治療の優先順位をつけるトリアージも含め、迅速な対応につながったと思います。 地震から1週間以上がたったいま、外傷や骨折の患者の治療は落ち着きましたが、酷暑による熱中症疑いの患者の対応が多くなっています。 さらに、避難生活の長期化により、エコノミークラス症候群のほか、慢性疾患の増加が懸念されます。 ストレスで血圧や血糖値が上がるほか、心不全や脳卒中など循環器系の病気の増加には十分注意しなくてはいけません。暑さで脱水気味になると、脳梗塞(こうそく)が増える恐れがあります。 体力や認知機能の低下、誤嚥(ごえん)性肺炎や高齢者施設での床ずれが増えてくることが懸念されます。被災者はもちろん、医療機関や高齢者施設の職員スタッフの心のケアも大事になります。 当院では8月5日から、被害の大きかった宇城市や八代市の避難所や高齢者施設の支援のため、医師や看護師、薬剤師らでつくるチームを計10班ほどつくり、順次派遣しています。災害関連死を増やさないように、被災者の医療・ケアのニーズをくみ取りながら、支援を続けていく必要があると考えています。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






