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レッツ・スタディー!経済編(番外) 安部若菜さん卒業インタビュー NMB48メンバーの安部若菜さん(25)が8月4日、大阪・難波のNMB48劇場で「卒業公演」を行い、8年余り在籍したグループから卒業する。小説執筆、落語、投資、料理、ゲームなど多くの趣味や特技をもち、「100通りの楽しみ方ができるアイドル」と称された安部さん。朝日新聞の連載「レッツ・スタディー!経済編」も2021年11月から担当した。グループ卒業に際しての思いを聞いた。 ◇ ――7月18日、25歳の誕生日に卒業コンサートが開かれました。 あべ・わかな 2001年、大阪府生まれ。18年にNMB48に加入。小説執筆のほか、落語、投資、ゲームと趣味や特技が幅広い。小説家としてのデビュー作「アイドル失格」以降、3作を世に送り出している。「アイドル失格」はドラマ化や漫画化もされた。26年3月、NMB48からの卒業を発表。 アイドル生活の最後には卒業コンサートを送り出されるくらいの存在になるということを夢見て歩んできました。その夢が実現して感無量ですし、8年前のデビュー当時には、私自身も含めて誰一人予想していなかった未来だと思います。 (2018年に)加入した当初に掲げた目標が「下剋上(げこくじょう)」でした。当時はNMB48の礎を築いた大先輩の方々も多く在籍しており、そこで私のような新米がのし上がろうというのはまさに下剋上でした。 ――アイドル人生の転機は。 21年から22年にかけて、NMB48のメンバーを抽選でチーム分けし、その総合力で競い合う「ナンバトル1」と、ファン投票でシングル曲の歌唱メンバーを選ぶ「ナンバトル2」というイベントがあったのですが、これはどちらも私にとって大きな出来事でした。 チーム戦である「1」では思うような結果が得られず、とても苦しかったです。でも、それによって奮起した面もあります。 その後、個人戦である「2」で4位をいただけたことが、私自身の活動の幅を広げ、この卒業コンサートにまでつながったと思っています。本当に、ファンの方あってのアイドル人生でした。 ――特技や趣味がたくさんあります。「100通りの楽しみ方ができるアイドル」という表現は言い得て妙でした。 もともと、自分の特技や趣味が武器になるという発想はありませんでした。自分にしかない武器を一生懸命探す中で、埋もれていたものを自分で掘り起こしていった感じです。 それは私自身のためというより、NMB48のためという気持ちが大きかったです。まだグループを知らない人にも知ってもらいたい。そのきっかけになりたいという気持ちです。 自分一人の利益だけを考えてやっていたらどこかで挫折していたかも知れません。 ――「経済編」が始まってからの5年弱は本当に激動でした。コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、物価高、円安、トランプ関税、中東危機、マイナス金利政策の解除……。 本当にいろいろありました。世界史の教科書に載りそうな出来事が毎年いくつも起き、本当に胸の痛むニュースも多かったです。 投資をしている身からすると、本当に先行きの見えない時代に入ったという感じもあります。 どの会社、どの業種の株価が上昇するかを予測するには、この先にどんな社会が待っているかを見通す力が必要ですが、その将来予測こそが難しい。生成AIの進化するスピードの速さも全く予想を超えるものでした。 ――アイドルという存在は今後どうなっていくでしょうか。 アイドルを取り巻く環境もこの8年余りで大きく変わりました。アイドルが増えたというのもそうですが、SNSやショート動画などを通じ、誰でも「アイドル的な存在」になれる時代になった。 「1億総アイドル時代」です。アイドルにとっては必ずしも楽な時代ではありません。自分はどんなアイドルなのか、どんなグループなのかを常に考え続けることが大切になってくると思います。 ――「経済編」26回での「人はみんな時間を何かに投資しながら生きている存在だと思う」という言葉が印象に残っています。 その思いはより強くなっています。 人間にとってのかけがえのない資産はやはり時間だと思うので。その時間を何に使うのか、何に使わないのか。その選択こそが人生だと思いますし、その意味では生きることって絶え間のない「投資」だと感じられます。 ――卒業後は作家活動が本格化します。 率直な気持ちをいうと、不安の方が大きいです。小説は何が売れるか分からない世界なので……。結局、自分にできる精いっぱいを書くしかない。 特に卒業後の一作目はすごく大事だと思っています。読者の方々の大切な「時間」をお借りするに値する作品を届けられるよう頑張ります。 ――変化の激しい時代にあって、安部さんが卒業後、「生き方の軸」として大事にしていきたいものがあれば。 好奇心です。小説を書くことも、アイドルという仕事も、「やってみたい」という気持ちから始まりました。好奇心を失わずにいられれば、どんな時代になっても楽しみながら生きられると思います。 ――卒業コンサートでは「全力グローイングアップ」という曲をソロで歌いました。 研究生時代にもらった思い出深い曲です。「確信なんてないけど 僕はペダルを漕(こ)ぐしかない」という歌詞が、まさに当時の私たちの希望と不安がないまぜになった気持ちそのものでした。未来は誰にもわからなかった。 歌詞は「それが正しいのか 答え合わせ まだまだ先でも」と続きます。私としてはファンの方々の前でこの曲を歌うことが、アイドル8年半の「公開答え合わせ」でした。 同時に、作家・安部若菜として、もう一度新たなスタート地点に立つ決意もこの曲に込めました。はるか先の未来で、もう一度、夢の答え合わせをすることになると思います。 「経済編」読者のみなさんにも、私の作家としてのグローイングアップを見守り続けていただけると幸いです。






