【社説】最低賃金引き上げ、高水準で続けたい 審議は働き手のために2026年8月1日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●2026年度の最低賃金の引き上げ目安は55円増。上げ幅は6年ぶりに前年を下回った●最低賃金に近い水準で働く人の家計は苦しい。高水準の引き上げを続ける必要がある●25年の都道府県の審議では発効日の遅れが相次いだ。26年は働き手のためになる審議を
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最低賃金に近い水準で働く人の家計は、食料品や生活必需品の物価上昇で圧迫されている。新たな政府目標の達成へ、着実に歩を進めたい。 2026年度の最低賃金の引き上げ幅について、全国加重平均で55円(4.9%増)を目安にすると国の審議会が決めた。時給は1176円となる。過去最大の63円(6.0%増)だった25年度に次ぐ水準で決着したが、6年ぶりに前年度より伸びが縮んだ。 高市政権は全国平均1500円の達成時期を、「遅くとも30年代前半できる限り早期」とする目標を示す。実現に年7%超の引き上げが必要だった石破政権の「2020年代」から事実上、先延ばしした。高すぎる政府目標を現実的に修正した形だ。 最低賃金は労働者の生計費、一般的な賃金水準、企業の支払い能力の3要素を考慮して決めるよう、法律で定めている。 25年の審議の裏側では、賃金向上担当相だった赤沢亮正氏が経済団体や厚生労働省幹部らに大幅な引き上げを働きかけていた。政治からの直接的な介入に、引き上げの根拠を「3要素で説明するのは難しい」と疑問視する声が相次いだ。26年の審議に目立った介入はなかったようだ。 公労使が3要素を重視する議論を重ねて目安を決めたことは、審議のあり方として望ましい。根拠に基づく審議を前提に、高水準の引き上げを続けたい。政府には、価格転嫁を広げるための関係省庁の監督強化や生産性を上げる投資への助成など、中小・零細企業が原資を確保しやすい環境の整備が求められる。隣県との競争が過熱、目立つひずみ 審議の舞台は今後、地方の審議会に移る。目安を参考に都道府県ごとに上げ幅を決める。25年の審議では39道府県で目安を上回った。例年10月ごろとなる改定の発効日を遅らせる動きも相次ぎ、27府県が11月以降、うち6県が年を越した。 背景には、隣県との引き上げ競争や全国最下位を避ける争いの過熱がある。大幅増の代わりに発効日を遅らせ、企業の負担を和らげる配慮がにじむ。だが、働き手にはマイナスだ。 たとえば、80円上げた秋田県は発効日を年度末に半年遅らせ、年間を通じた実質の引き上げ額が半分の40円になった。目安を下回る水準となり、働き手に恩恵が届くのも遅くなった。 国の審議会は、大幅な引き上げに向けて、発効日を過度な交渉材料にしないよう地方の審議会にクギを刺した。働き手を置き去りにした改定を、繰り返してはならない。最低賃金「1500円」足取り減速 4.9%増、上昇ペース弱まる「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする








