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28日に起きた熊本地震で電気や水道などのライフライン、建物に大きな被害が出ています。厳しい暑さのもと避難所や車の中などで過ごすしかない被災者の命を守るためにできることは――。呼吸器外科医として勤務していた石巻赤十字病院(宮城県石巻市)で東日本大震災を経験し、避難所の環境改善に取り組んできた日本赤十字社の植田信策医師に聞きました。真夏の避難、熱中症とエコノミークラス症候群に注意 真夏の避難生活では、熱中症とエコノミークラス症候群にとくに注意が必要です。 汗がだらだらと流れる状況では、1日何リットルの水を飲めば脱水にならないとは言えませんが、トイレが手がかりになります。ふだんよりトイレに行く回数や尿の量が少ない、尿の色が濃いときは要注意。とくに麦茶のような濃い茶色の尿が出たら脱水を起こしている可能性があります。冷たい水を飲み、経口補水液や塩あめなどで塩分をとりましょう。それでも頭痛や体のだるさが続く場合は医療機関を受診してください。 意識障害があるなど重度の場合(熱射病)は、救急車が到着するまで涼しい場所に移動しできるだけ体温を下げてください。手足には皮膚の近くを流れる血管が多いので、冷たい水につけるだけでも体の熱を逃がしてくれます。体育館での避難 屋根からの放射熱に要注意 体育館での避難では屋根からの放射熱が気になります。簡易のクーラーが設置されていても放射熱で体育館内の温度がかなり高くなるケースがあります。学校の校舎が使えるようなら、屋根からの放射熱の影響を直接に受けない階の教室で窓を開けて過ごす方が体育館よりも涼しく過ごせる場合があります。 熱中症予防で脱水に気をつけることはエコノミークラス症候群の予防にもつながります。長時間同じ姿勢や脱水状態が続くと、足の血管に血栓(血の塊)ができます。この血栓が肺の血管につまると呼吸ができなくなり、治療が間に合わなければ死亡します。避難生活の中で、息苦しさや胸がつまるといった症状を感じたらすぐに救急車を呼びましょう。本震から2日後、車中泊の女性が死亡した例も 2016年の熊本地震では本震から2日後の4月18日に車中泊していた女性がエコノミークラス症候群で亡くなりました。どんな年代の人にもリスクがありますが、不潔なトイレを避けてトイレに行くのを控えやすい女性に患者さんが多い傾向があります。 血圧の上昇にも注意が必要です。睡眠不足やストレスが続くと血圧が上がりやすくなり、心臓への負担が大きくなります。高齢者などもともと心機能が弱っている人は心不全になり命を落とす可能性があります。命を守るために必要なトイレ、食事、ベッド 避難生活によって起きる様々な健康被害を少しでも減らすために、避難所の環境を整えることが重要です。それはぜいたくではなく、命を守るために必要なこと。私が常任理事を務める避難所・避難生活学会では「TKB48」を呼びかけています。Tはトイレ、Kは適温の食事を提供するキッチン、Bがベッド。災害の発生から48時間以内に避難所にTKBを整えることが被災者の健康を守ることにつながるという考え方です。 清潔なトイレがあれば水分を控えなくてすみますし、適温の食事も健康を守るために欠かせません。ベッドは体を水平にして休めるだけでなく、高齢者でも立ち上がりやすいので体を動かすことにつながります。エコノミークラス症候群の予防の観点からも重要です。床のほこりの吸い込み防止にもなります。 地震で助かった命が避難生活で奪われないように、お互いに声をかけて助け合い、この難局を乗りきっていただければと思います。救急医に聞く熱中症 子ども、高齢者…要注意なのは? 救急医学を専門にする医師は、災害関連死を防ぐためにも熱中症対策が重要だと指摘する。 一般社団法人・熱中症総合研究所所長を務める三宅康史医師によると、災害時は熱中症になりやすい要因が多くある。 停電や断水が起きて普段のように温度や湿度の管理ができない▽トイレに行きにくく水分補給を控えがちになる▽精神的なストレスや不眠、食事がとれないことによって自律神経が乱れやすい――などが挙げられる。 日本医科大学の横堀将司教授は、家の片付けなどの作業をする場合、体が暑さに慣れていない状況では、その作業自体が熱中症のリスクになるとして、注意を呼びかける。「日中の暑い時間帯は作業を中断するなどの対策が大切だ」 一般的に子どもや高齢者は体温を調節する機能が十分でなく、熱中症のリスクが高い。糖尿病などで利尿作用のある薬を使っている人は脱水になりやすく、要注意だ。 熱中症では、本人が重症化に気づきにくいことも注意点という。日本医科大学などが開発したアプリ(https://heatstroke.app/)は、簡単な質問に答えることで重症度を判定できる。重症度に応じ、救急車を呼ぶ必要があるかといった対処法も案内する。