【社説】憲法改正の国民投票制度 ネットの弊害、先送りせずに対応を2026年7月26日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●選挙立会人の要件緩和など、公選法にあわせる改正国民投票法が成立した●CMやネット有料広告の制限、偽・誤情報対策などは先送りされた●自民党などは改憲発議を急ぐが、公正な投票環境を整えるのが先だ

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憲法改正の是非を問う国民投票には、主権者が正確で十分な情報に基づき、冷静に判断できる環境が欠かせないというのに、重要性を増しているネット広告やSNS上の偽・誤情報などへの対応は先送りされた。改憲論議を急ぐ前に、投票の公正を支える土台を整えるべきだ。 憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法が、特別国会の実質最終日だった24日の参院本会議で、共産党とれいわ新選組などを除く、与野党の賛成多数で可決・成立した。 選挙立会人選任の要件緩和や、憲法改正案に関する広報をFM放送でも流せるようにすることなどが柱だ。いずれも、先行した公職選挙法改正の内容にそろえる実務上の見直しといえる。 前回2021年の国民投票法改正の際、CMやネット有料広告の制限について、施行後3年をめどに「必要な法制上の措置」などを講ずると付則に明記されたが、いまだ手つかずのままである。 今回の改正にあたって、「法改正をはじめとする必要な措置を講ずる」との付帯決議がなされたが、期限はなく、実効性には疑問がある。 現在のような、SNSの利用拡大と影響力の増大は、国民投票法制定当時には想定されていなかったに違いない。 すでに通常の選挙では、偽・誤情報の拡散や誹謗(ひぼう)中傷が問題となっており、生成AIで本物と見分けにくい画像や動画を容易につくれるようになったことで、その深刻度は増している。 国民投票は、憲法改正の発議から投票までの期間が60~180日と長い。資金力のある勢力が大量の広告や情報発信を行えば、有権者の意思形成に大きな影響を及ぼしかねない。外国勢力による介入や影響工作への懸念もある。 確かに、ネット広告の規制には、表現の自由との関係で難しさがある。規制対象をどこで線引きするのか。誰がどのように監視するのか。 憲法改正の発議があった時に国会に設けられ、衆参各議員10人ずつで構成される「国民投票広報協議会」に、偽情報への対応やファクトチェックまで担わせるのか。 自民党をはじめとする改憲勢力は、緊急事態条項などを念頭に条文案づくりを急いでいる。公正な国民投票を支える仕組みづくりと、改憲の是非は本来別問題だが、環境整備を後回しに発議に走るのは順序が逆である。 主権者が自らの主体的な判断で一票を投じることができる。その条件を欠いたままでは、国民投票制度に対する国民の信頼は得られない。国民投票法改正案、参院憲法審で可決 ネット規制は「必要な措置を」「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする