2026年6月4日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●与野党が選挙期間中のSNSの適正利用に向けた法案の骨子案をまとめた●事業者に選挙への悪影響を軽減する措置を求めるが、事業者任せは否めない●投稿の収益化停止や政党のネット広告禁止など、実効性のある措置が必要だ

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SNSの普及と生成AIの発達で、選挙に関する偽・誤情報や誹謗(ひぼう)中傷が投票行動に影響を及ぼす懸念が現実のものとなっている。政治活動や表現の自由を尊重しつつ、民主主義の土台である選挙の公平公正を守るため、実効性のある対策を急ぐ必要がある。 選挙期間中のSNS規制などを議論してきた与野党の協議会が、来春の統一地方選に間に合わせるべく、今国会で成立をめざす法案の骨子案をまとめた。プラットフォーム事業者に「必要な措置」求める法改正案 公職選挙法のインターネットの適正利用を定めた条項に、虚偽の事項や事実の歪曲(わいきょく)によって選挙の公正を害してはならないとの規定を追加。生成AIで作成した動画や画像のうち、実際に撮影されたと誤認される恐れのあるものには、AIで作成したことを明示するよう義務づける。 情報流通プラットフォーム対処法も改正し、プラットフォーム事業者に対し、選挙への悪影響を軽減するため「必要な措置」を講じるよう求め、その実施状況を年1回公表することを義務付ける。閲覧数増で収益。過激な投稿が拡散する温床に 各党が合意できる最大公約数から始めるのは理解できるが、事業者の対応次第の部分が大きいことは否めない。閲覧数が増えるほど投稿者の広告収入が増える仕組みは、真偽不明の過激なコンテンツが拡散する温床になっている。選挙期間中は、選挙や政治に関する投稿の収益化を停止するなどの規制が必要だ。 骨子案では、事業者に求める「措置」について、総務相が定める指針の中で、収益化の停止や収益化アカウントであることの表示などを例示するとしている。ただ、何を実施するかは事業者の判断に委ねられており、自らの収益の減少にもつながる措置が実際にとられるかは見通せない。 収益化の停止は、投稿自体を制限するものではなく、表現の自由の侵害にはならない。事業者任せにせず、実効性のある規制が求められる。衆院選で自民が大量のネット広告 選挙期間中の有料ネット広告への対応も急がれる。公選法は候補者の有料広告を禁止しているが、政党や政治団体が「政治活動」として出すことへの規制はない。 2月の衆院選では、自民党が投票を呼びかけない形のネット広告を大量に流し、その影響力の大きさが指摘された。政党の資金力の差が選挙結果を左右するようなことはあってはならない。 政党や政治家自身がネットの適正利用に背くような振る舞いは許されない。SNSを利用する有権者も、発信元の信頼性や一次情報の有無などに目をこらし、冷静に判断することが求められる。その動画は本物か 「ディープフェイクの大衆化」が削る選挙への信頼「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする