視点・解説「治療中止こそが最善」からの転換 小児医療の指針、改訂とその背景後藤一也印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
[PR]
日本救急医学会など4学会が2月、「救急・集中治療における生命維持治療の終了/差し控えに関するガイドライン」の案を公表した。この指針案は、対象となる年齢を示していない。成人だけでなく、小児も対象に含まれるという。 だが、日本小児科学会にも、命を脅かされる状態にある子どものための話し合いのガイドラインがある。終末期を定義しない点などは4学会指針案と同じだが、「治療の終了」が目的化しないよう、近年、内容を見直した経緯がある。 何をもって治療を中止することが許容されるのか、中止しなければならない時はどういう時なのか――。小児医療の現場で、最も難しい問いの一つだ。「一度始めた治療を中止することは難しい」という認識が医療者にはある。とくに、幼い子どもの医療の場合、そもそも本人の意思を確認することは難しい。 かつて、1980年代に公表された東京女子医大のガイドラインでは、積極的な治療をするのか、しないのか、ランク別に検討することが示され、疾患名も例示された。ただ、疾患名だけを根拠に治療を決めることには批判もあった。小児科学会の旧指針 治療の中止「特に慎重に検討」 その後、厚生労働省の研究班がガイドラインをつくり、2012年には小児科学会が「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」を作成した。 治療を中止することが目的ではなく、子どもの最善の利益のために、医療者や本人・家族が対等な立場に立って、価値観を共有し、話し合いを重ねていく。この考えを示した内容だった。 このガイドラインのなかで、「生命維持治療の差し控えや中止は特に慎重に検討する」とし、「子どもの最善の利益にかなうと考えられる場合には、生命維持治療の差し控えや中止を提案することができる」と表現した。 フローチャートをつくり、医学的な評価や理解は十分か、対話が十分か、説明を父母が正しく理解しているかなどの項目を満たしている場合に、治療の差し控えや中止を検討する、としていた。 だが、フローチャートに沿って話し合えば中止することができる、と解釈することもできた。実際、治療中止の根拠があいまいな事例が散見され、別の学会で治療の中止に関するシンポジウムが設けられた。 「話し合い」が形骸化しているのではないかという懸念が広がり、学会は24年にガイドラインを改訂した。改訂した指針 「中止が最善」からの転換 改訂後は二者択一のフローチ…この記事は有料記事です。残り713文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
この記事の続きを読むなら今がお得。初回1カ月無料+Visaギフトカードが当たる▶今すぐ登録







