生徒の「落とし物」も貴重な資料 福島県立安積高校旧館の改修大詰め2026年7月18日 13時30分森北喜久馬印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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福島県郡山市の県立安積高校の敷地内にある旧福島県尋常中学校本館の修理が、2027年春の竣工(しゅんこう)に向け終盤を迎えている。国の重要文化財になった後、繰り返し大きな地震に見舞われた。次の大地震で倒壊しないよう、23年12月から耐震補強が続けられている。 6月16日午前、近くにある郡山女子大学で建築デザインを学ぶ学生たち43人が本館にやって来た。ヘルメットをかぶり手袋をはめて、2階から仮設のハシゴを登って屋根裏に入った。 案内役は、保存修理を請け負う八光建設(郡山市)の現場責任者である澤﨑幸史執行役員。 耐震補強のポイントは三つある。一つ目は、大きな揺れでゆがまないよう柱と柱の間に合板をはめ込むこと。二つ目は、屋根裏の梁(はり)と梁の間に、鉄筋を筋交いに取り付けること。三つ目は、基礎部分の石が崩れないように、鉄筋コンクリートでがっちり固めることだ。 一般的な校舎だと補強部分が外から見えることが多いが、国の重要文化財なので見た目は1889(明治22)年の完成当時に、できる限り近づけなければならない。澤﨑さんは「補強は終わり、壁をふさいで塗り直す段階に入っている。補強の様子を直接見るには屋根裏に入るしかない」と話す。 学生たちは続いて、左官職人による、しっくい壁の塗り直しを見学した。2階部分は既に終了し、1階で作業が続く。 本館は11年の東日本大震災と21~22年の福島県沖地震で被災。大震災ではほぼ全面がはがれ落ち、福島県沖地震ではほぼ全面に亀裂ができ、一部がはがれ落ちた。 問題ない部分は極力残すものの、色むらができないよう、上部は白く下部はねずみ色にと全面的に塗り直す。10円紙幣や水着の写真も発見 この建物は福島県内最古の旧制中学校の校舎として建てられた。戦後は、新制・安積高校の校舎として使われ、1977(昭和52)年に国の重要文化財に。84年からは安積歴史博物館となった。 今回の工事では、47点の「落とし物」が見つかった。大半が生徒の持ち物で、壁や床のすき間から内部に入ったようだ。 年代が分かるものもある。例えば、授業料を納付した領収書には「昭和11年10月」と書かれている。納付額は「四円弐拾(にじっ)銭」だった。国会議事堂が描かれた10円紙幣は46(昭和21)年から発行された。安積高校が61年に出した3年生の身分証明書もある。 丁寧に文字が書かれた英単語カードや三角定規があるかと思えば、水着の女性の写真の切り抜きや紙製めんこ、チューインガムの包装紙もある。 安積高校の元教諭で、現在は安積歴史博物館で事務局を務める渡部正一さん(63)は「偶然の発見とはいえ、時代の記憶を宿しており残す価値があると考えた」と話す。 博物館の再オープンは2027年9月の予定だが、それまでの間も建物内部や「落とし物」の見学は随時受け付けている。申し込みは博物館のホームページ(https://anrekihaku.or.jp/)へ。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






