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野球の試合で監督がサインを出さない。選手は自ら考え、その場で最善のプレーを選ぶ。そんな「ノーサイン野球」を採り入れる強豪高校がある。サインがなくても試合運びはうまくいくのか。春の大阪府大会4強の大阪学院大を訪ねた。 「サインは出さない方がいい」。大阪学院大を指揮する辻盛英一監督(50)はそう言い切る。生保経営との二足のわらじ 辻盛監督は、奈良高と大阪市立大(現大阪公立大)でプレー。その後、大手保険会社で13年連続営業成績トップを記録した経歴を持つ。 仕事を続けながら2010年から大市大の監督を務め、23年から大阪学院大に移った。現在は生保代理店経営者と監督の「二足のわらじ」だ。 そんな辻盛監督がノーサイン野球に取り組み始めたのは、大市大監督時代だった。 ある公式戦でヒットエンドランのサインを出した。しかし、走者はスタートを切らなかった。その状況を見た打者は、とっさにバットを止めた。「サインって意味ないやん」 「それを見て、『サインって意味ないやん』と思ったんです」 監督は、現場の状況を完全に把握できているわけではない。監督が「走れ」と思った瞬間と、走者が走れる瞬間は必ずしも一致しない。 むしろ、その場にいる選手が判断した方が成功確率は高まる。そう考えるようになったという。 攻撃ではスクイズも含めて完全ノーサイン。バントは原則使わない。 守備のサインも、監督は関与せず、あくまで選手同士で出すことを決めた。 大学野球だけでなく、高校野球でもその方針を貫いた。着任2年目だった24年に、春の府大会を制覇。今春も4強入りを果たし、「強豪校」の一角として存在感を高めている。ノー戦術野球? もっとも、ノーサイン野球は「ノー戦術野球」ではない。 練習では試合のさまざまな局面を想定し、どんな戦術を選ぶべきかを選手自身が考える機会を積み重ねる。試合中は、イニング間に選手が中心となって戦術を話し合い、監督が議論をまとめる。 犠打やヒットエンドランのサインを出さなくても、自ら最適解を出せるように練習を徹底している。その努力があって初めて、ノーサイン野球は成り立つ。自主性ひかれ、全国から有力選手集まる そうした自主性を重んじる姿勢にひかれ、全国から選手が集まるようになった。 長崎県佐世保市出身の樋爪信主将(3年)は「(多くの学校では)監督、コーチにやらされるのが当たり前。やらされるより、うまくなるんじゃないかと思って選んだ」と話す。 北海道出身で元U15日本代表の林将輝投手(2年)らも同様だ。現在は3年生40人、2年生73人、1年生53人がしのぎを削っている。 そんな大阪学院大が目指すのは、初となる夏の甲子園出場。「今年のメンバーは優勝する力がある」と辻盛監督は自信をみせる。ノーサイン野球の目指す先は ただ、ノーサイン野球の目的は勝利だけではない。プロ入りを目指す選手もいるが、全員がその夢をかなえられるわけではない。多くの選手は将来、野球以外の世界で生きていくことになる。 「将来的に、企業やったら、企業のことをいかに変えていくか。そこで(野球で培った)『自分で考えられる力』を生かしてほしい」 勝利を追求しながら、社会で活躍できる主体的な人物を育成する。広がりを見せるノーサイン野球の背景には、そんな教育観がある。大阪学院大と関大一の試合は大阪大会2回戦15日12時 朝日新聞社と朝日放送(ABC)テレビの高校野球総合情報サイト「バーチャル高校野球(VK)」では、地方大会と全国大会の全試合をライブ配信する。 記事やスコア速報も無料で配信する。試合終了後に試合映像が見られる「見逃し動画」(一部試合をのぞく)も無料で視聴できる。 視聴は「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_vk/)、「スポーツブル」(https://vk.sportsbull.jp/koshien/)の両サイトで。






