【社説】維新主導の副首都法案に「大阪ありき」批判 ゼロから再考を2026年7月13日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●自民と維新が国会に出した副首都法案の審議が始まった●首都圏以外の道府県を「副首都」に指定するが、防災より経済対策の色合いが濃い●出発点は、維新が大阪を前提に唱えてきた副首都構想。大阪ありきで成立を急いではならず、ゼロから仕切り直すべきだ

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国を支える重要な機能が首都圏に集中する現状を見直す取り組みは大切だ。ただ、議論を重ねても有効な対策がとれていない難問でもある。 自民と維新の連立与党が議員立法で成立を急ぐ副首都法案の国会審議が始まった。道府県単位で副首都を選ぶこの法案は、「防災」を強調しつつ、地域の経済対策の色合いが濃い。大阪維新の会が大阪を前提に唱えてきた「副首都構想」が出発点で、「大阪ありき」とも批判されてきた。 国の税財政支援で都市づくりを進めるというが、防災対策の視点をおろそかにせず、有効な施策を講じられるか。国会の会期末に拙速に決めてよいテーマではない。維新はもちろん、自民も連立維持の思惑から法案成立に走らず、ゼロから仕切り直すべきだ。 1990年代の首都機能移転論議では「国会等の移転に関する法律」ができ、移転先として「栃木・福島」などがあげられた。それが事実上頓挫した状況のなかで提案された副首都法案は、対象分野を行政(政府)と民間(企業)に絞り、首都機能の「一時的な代替」を掲げる。副首都が機能の全部または大部分を担えるよう、国の出先機関の整備を進め、民間の投資を促すという。 首都直下地震や富士山噴火の影響を受けにくい地域の道府県を対象に手挙げを募り、政府が指定する。その際、国の機関の立地や人口・経済の集積状況を考慮する。自ずと大阪を筆頭に大都市を抱える道府県が選ばれる仕組みだ。 具体的な施策は、内閣に設ける推進本部が決める基本方針に丸投げした。「首都」に関する規定がないなか、なぜ副首都は道府県単位なのか。防災対策をうたうなら、大阪でも被害が想定される南海トラフ巨大地震などの影響を考えなくてよいのか。 維新は、大阪市を廃止して東京都と同様の特別区を導入する都構想に加え、2023年には副首都整備法案を単独で国会に出した。防災より経済を重視する姿勢は、当時から変わっていない。 維新は一時、副首都の指定で、都構想を実現した道府県に限るべきだと主張。今回の法案の付則には当初、特別区導入の賛否を問う住民投票に関して、廃止される市だけでなく道府県全体で行えるようにする関連法改正を盛り込んだ。この規定には学者から憲法違反との疑義も示され、「我田引水」に批判が集中。撤回に追い込まれた。 副首都法案は、何を目的に誰のために作るのか。肝心の問いがあいまいなまま成立させてはならない。【まとめてわかる】「副首都構想」と「特別市構想」、内容と課題は?「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません