インタビュー濱口竜介監督が主演岡本多緒に求めた役割 映画の「健康」な制作とは聞き手・小峰健二印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする【動画】映画「急に具合が悪くなる」濱口竜介監督インタビュー=時津剛撮影

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公開中の映画「急に具合が悪くなる」の濱口竜介監督が、独自の方法による演出の狙いについて語った。 スタッフに近かったという主演の岡本多緒さんの役割とは? 自身が「健康」であるために必要だと考える制作規模は? インタビュー後半をお届けする。【インタビュー前半】濱口監督独特の演出術「本読み」「17の質問」とは 〈濱口監督の作品では、事前の本(台本)読みや登場する役についての「17の質問」というサブテキストがあり、現場においては段取りがある。それらを全部含めて「演出」ということなのか〉 そうですね。方法立ててやっているのは確かです。直接的に参照しているというか、近いなと思っているのは(アメリカの演技指導者)サンフォード・マイズナーという人の技術です。本でしか読んでいないのですが、マイズナーは徹底的に俳優たちに感情を乗せない形で「レペティション」という繰り返しをやらせる。そのことによって、その場、その時に応じて反応ができる俳優の状態を作っていく。 もう一つは「感情準備」ということを言っている。そもそも俳優としての感情を準備しておかないと、即座に反応する言葉は、単にその俳優自身の状態の反映でしかなくなってしまう、と。前もって俳優が感情的な準備をしておくことが必要だとマイズナーは言っている。自分がやっている本読みというのは「レペティション」に近いものであり、一方で「17の質問」は「感情準備」に近いものであると思っています。 ただ、最も根本的なことは俳優が役を演じることのある種の「不可能性」を理解しておくということだと思います。そもそも俳優が役を演じるということは無理な要求であり、それを我々スタッフは俳優に押し付けているということです。その自覚を持ち、俳優の感情的な状態に最大限配慮しながら、今取り組んでいることを行っていくと、「こんなものが見ることができるのか」というものが映ることがあります。現時点では他にやり方が分からないので、今のようなやり方になっています。 でも、結局そんなにまとまった方法は現時点ではなくて、その都度、俳優の状態を見ながら、この人にはこうした方がいいけれども、この人にはそうしない方がいいというような判断をしながらやっていく。本来は演出というものを明確に定義することはできなくて、俳優とのその場その場の関係性、その場その場の出会いみたいなものなんだというふうに思っています。2人を記録できたことが「報酬」〈「演出」について深く思考/試行する濱口監督にとって、カンヌ国際映画祭でのビルジニー・エフィラさんと岡本多緒さんの女優賞は最もうれしい成果だったのではないか〉 それが自分の手柄みたいな方…この記事は有料記事です。残り1484文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません