ストーリー「他の観客と同じように」ろう者、難聴者が野田秀樹さんに求めたこと増田愛子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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「私たちはこの作品を観(み)たいのです。劇場で。すべての公演で。他の観客と同じ条件で」 5月、劇作家・演出家・俳優の野田秀樹さんと、演劇の企画制作会社のNODA・MAPに宛てたこんな要望書が、SNSで公開され、注目を集めた。 要望書は、ろう者に関わる芸術活動の活性化に取り組む「日本ろう芸術協会」など3団体の連名。問題があると指摘したのは、野田さんが手がけた舞台「華氏マイナス320°」の鑑賞のサポート態勢についてだ。 野田さんは約17年間にわたり東京芸術劇場の初代芸術監督も務めた、日本を代表する演劇人だ。4月に開幕した舞台は、阿部サダヲさんや広瀬すずさん、深津絵里さんら人気俳優が出演。現代と中世、古代を行き来しながら、優生思想という重いテーマを描く。ろう者が出演し、手話が演出として使われる。一方、ろう者や難聴者にポータブル字幕機を提供するのは、東京公演(全52回)のうち2回だけだった。 要望書は、残り全ての国内上演で、字幕提供かタブレット端末での台本貸し出しを行うことなどを求めた。 3団体の一つ、シアター・アクセシビリティ・ネットワークは、2012年から、ろうや難聴の当事者らが中心となり観劇のバリアフリー化に取り組む。理事長でろう者の廣川麻子さんは、これまでも人気の高い野田さんの舞台に対し、当事者は「字幕提供の回を増やしてほしいと、色々なところでお伝えしてきた」という。公演を批判するためではなく この舞台には、観劇したろう者などから、舞台上で用いられる手話が理解できないとの意見も出ていた。 日本ろう芸術協会の代表理事を務めるアーティストで、ろう者の牧原依里さんは、字幕機の提供が限られることの問題点を、次のように指摘する。 「『ろう者は見なくてもいい』と言われているようです。当事者を置き去りにした商業的な消費、文化盗用だと感じます」と話す。 ただ、要望書に公演を批判する目的はないという。 映画界では、国際映画祭での受賞経験がある監督が、音情報も文字で伝える「バリアフリー字幕」などの導入に積極的に取り組む動きもある。 演劇界を長年リードする野田…この記事は有料記事です。残り1221文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人増田愛子文化部|専任記者専門・関心分野歌舞伎、文楽、海外の演劇、公共劇場関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






