京丹後で塩づくり継いだ元記者、職人の勘をデータ化 桂天吾がゆく2026年7月11日 7時00分丹治翔印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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「日本の夕陽(ゆうひ)百選」に選ばれている京都府京丹後市の夕日ケ浦海岸。その海水を使った塩づくりの製法を継いだ三味(さんみ)寛弥さん(32)は伝統を大事にしつつ、新時代の塩づくりを模索しています。2500リットルの海水を煮詰め60キロの塩に 「丹後絹塩」は、塩製造の自由化に伴い約30年前に京丹後で塩づくりを始めた池田龍彦さん(78)の事業を受け継ぎ、2023年に誕生した。市内の工房には平釜が置かれ、三味さんと同僚の西村太智さん(28)が海水をたいていた。落語家の桂天吾さんが釜をのぞくと「めちゃくちゃ沸騰していますね」。 釜に入った海水は360リットル。薪(まき)でたき、蒸発して水量が減ったら、タンクにためた海水をつぎ足す。5日間で2500リットルの海水を煮詰め、更に2週間熾火(おきび)で乾燥させると60キロの塩ができあがる。桂天吾さんのプロフィール1996年生まれ。神戸市出身。関西学院大学教育学部を卒業後、桂南天に弟子入り。若手落語家の登竜門と言われる「令和4年度NHK新人落語大賞」本選の6人に選ばれる。 薪でたくのは、丹後絹塩のこだわりだ。「師匠の池田さんが塩づくりを始めたきっかけの一つが、建築関連の仕事で生じた廃材を薪として活用するためでした」と三味さん。今も解体した空き家の廃材などを使う。シンプルな作業に奥深さ 天吾さんが塩づくりの魅力を尋ねると「気温や海水の状態、火加減などで、できあがった塩の質感や味わいが毎回違うところ」と三味さん。大変なのは煮詰める途中で出る不純物の石膏(せっこう)を塩と見分けることだという。 「不純物も味に大きく作用する。師匠が『塩は生き物なんや』と言っていたんですが、シンプルな作業だからこそ、奥深さがあります」 3週間かけてできあがった塩の粒子はきめ細かく、絹のようななめらかさだ。天吾さんが「おすすめの食べ方は?」と聞くと、三味さんは「やっぱり、おにぎりですね」。焼いた肉や魚に直接つけて食べても「素材を引き立てる」と太鼓判を押す。地元の産業として根ざしたい 新聞記者だった三味さんは退職後、京都でライターとして活動していた時に池田さんの塩づくりを取材した。その縁で、池田さんの事業を引き継いだ会社社長に誘われ、任されることになった。 池田さんについて三味さんは「どうしたらおいしい塩ができるのかを長年研究し、雑な仕事がない人」と評する。一方、作業はすべて「職人の勘」で行われていたので、修業中は海水の量や濃度を記録しながら仕事を覚えたという。 その蓄積は、東京からUターンしてこの仕事に入った西村さんにも伝えている。データ化することで「質の良い塩づくり」を誰もが再現できることを目指す。 今年、塩とにがりを使った歯磨き粉も開発した。「落語の『手水(ちょうず)廻(まわ)し』に塩で歯磨きをするという話が出てきます」と天吾さんが紹介すると、三味さんは「興味を持ってもらう入り口として知ってもらえたら」と期待を込め、続けた。 「『丹後といえば塩』と言われるぐらい地元の産業として広く根ざしていきたい。蒸気や煙が街のあちこちに見られて『今日も塩をたいているな』という風景が見られるようになったら最高です」職人のプロフィール さんみ・ひろや 1994年大阪府生まれ。ライター時代の取材をきっかけに技術を承継し、「丹後絹塩」の名で塩づくりに取り組んでいる。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






