「一刻干し」の名店が京都・宮津で復活 隣町の若者が立ち上がった2026年5月29日 7時00分日比野容子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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天橋立で知られる京都府宮津市に、新鮮な魚介類を短時間だしに漬け、おいしさをアップさせる「一刻干し」という調理法がある。一刻干しを味わえる名店が一昨年の秋、店主の急逝で閉店した。地域を元気にしたいと奮闘する隣町の若者らが、店の継承・復活へと立ち上がった。 宮津の一刻干しは、保存を目的とした干物とは一線を画す。「余計な水分をさっと飛ばし、うまみをぎゅっと凝縮させる。新鮮な魚介類をさらにおいしくするため、宮津の人々が編み出した方法なんです」 こう話すのは、京都府与謝野町の会社「京都丹後企画」代表の浜田祐太さん(29)。名店「カネマスの七輪焼き」の復活に携わった。 与謝野町で育ち、宮津市内の高校に通っていた。帰り道、店の前を通りかかると、一刻干しを焼く香ばしい匂いが漂い、和気あいあいと酒を酌み交わす人たちの姿が見えた。「大人の世界にあこがれた」 大学では政治学を専攻。人口減少や過疎化が進むふるさとを元気にしたいと、在学中の2019年に起業した。社名は「ローカルフラッグ」。地域の旗振り役になるとの願いを込めた。 与謝野町で始まっていたホップ作りを生かそうと、クラフトビールの醸造事業に乗り出した。京都丹後鉄道与謝野駅前に自社醸造所兼飲食店も開業。さらに、丹後半島全域に事業の幅を広げようと、東京のまちづくり会社と共同出資して立ち上げたのが「京都丹後企画」だ。 起業してから、得意先の接待などで使っていた店が「カネマスの七輪焼き」だった。七輪の赤い炎を眺めながら、旬の魚介類の焼き上がりを待つ。「たき火を囲むような感覚で、話が弾む。商談も不思議とまとまりました」 しかし、24年秋。店を経営していた40代店主が病のため急逝した。後継者はいなかった。店主の父親に「店を継がせてほしい」と直談判し、承諾を得た。 復活に向けては、一刻干しの作り方を学ぶところから始めた。新しい店長となる井関和樹さん(31)は、海上自衛隊で調理を担当していた経験がある。店に残されたメモをもとに試作を重ねた。 漬け込むだしは昆布とシイタケでとり、宮津の老舗・飯尾醸造の「富士酢」を隠し味として加える。魚種によって塩分の濃度を変え、漬け込む時間は1分から20分ほど、干し時間は40分から2時間ほどで調整する。 常連客を探し出し、試食してもらい、改良を重ねた。「カネマスの味になった」と太鼓判を押してもらった。 浜田さんは「干物でありながら干物ではないのが一刻干し。ジューシーでふっくらしていて、地元・宮津産のオリーブオイルと塩をかけていただくと、干物の概念が変わると思います」と語る。 当面はコースのみで、昼は3千円、夜は4500円(ともに税込み)。10席しかないため、予約(050・8896・2509)が望ましい。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人日比野容子京都総局|経済(京都・滋賀)専門・関心分野オーバーツーリズム、鉄道・交通政策、歴史文化、医療・介護、クラシック音楽、スキー、料理、欧州など関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






