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宮下洋一さんの欧州季評 1990年代半ばの欧州では、アメリカを羨望(せんぼう)のまなざしで見る人たちが多かった。私がスペイン・サラマンカ大学の学生だった頃、欧州連合(EU)各国から交換留学で来ていた若者たちは、アメリカの留学生を慕い、スペイン語習得よりも英会話の上達に無我夢中だった。ルームメートだったジョージア州出身のトニーが、「これじゃあ全然、スペイン語を覚えられない」とこぼしていたのを思い出す。 アメリカは第2次大戦後長く、「保護者」のように国際秩序を維持した。歴史や伝統を誇ってきた欧州だったが、その市民たちにとってアメリカは文化的にも思慕の対象になった。 欧州人の憧れだった「アメリカンドリーム」が揺らぎ出したのは、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を機に始まったイラク戦争辺りからだ。戦後続いたパックス・アメリカーナにも陰りが見え、EU諸国では反戦デモが繰り広げられた。マドリードで100万人規模のデモ行進を取材した私はその時、両大陸の戦争に対する価値観の差を初めて肌で感じた。 その後もしばらく、反グローバリズム運動の盛り上がりもどこ吹く風と、数々の技術を世に送るシリコンバレー、ハリウッド映画や音楽など、アメリカの欧州への影響は絶大だった。だが08年以降、潮目が変わる。リーマン・ショックに端を発する世界金融危機、対テロ戦争への加担など、アメリカ政府の巻き添えを食う欧州の国々も多く、アメリカに憧れるだけでは済まされない状況になっていく。 アメリカは好きだけど、いつまでも一緒にはいたくない。そんな親と子の縁にも似た欧米関係に現れたのが、ドナルド・トランプだった。 欧州市民は第1期のトランプ…この記事は有料記事です。残り1578文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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