【社説】国会混乱で露呈した政権運営の稚拙さ その責任は首相に2026年7月8日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●政権の強硬姿勢が国会の混乱を招き、定数削減法案の見送りに追い込まれた●比例45議席の削減は、多様な民意の反映を損なう。見送りでなく断念が妥当だ●皇室典範改正と副首都関連の2法案も欠陥が目立つ。拙速は避けるべきだ
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自民党と日本維新の会が、衆院議員の定数削減法案の今国会での成立見送りで合意した。国会正常化に向けた与野党の調整が続いていたが、10日以上続いた混乱の責任は、国会軽視が甚だしい与党、特に高市早苗首相にある。 今回改めて露呈したのは、政権運営の稚拙さである。今後は皇室典範などの改正案と「副首都」関連法案の議論が進むが、国のかたちや統治に関わる重要課題だけに慎重な対応が必要だ。国会は合意形成を図る場である。数の力で法案を押し通すのでは、思うようにはことを運べないと自覚してもらいたい。際立つちぐはぐさ 6月26日から続いた停滞の原因は、与党が首相出席の予算委員会や党首討論に応じなかったことと、維新肝いりの定数削減と副首都法案の審議入りを強行したことにある。 与党の強引な手法に、野党は2法案の撤回を求めて審議を拒否。自民が最優先とする皇室典範の審議入りに黄信号がともった。与党は7月6日にようやく予算委や党首会談への首相出席に応じ、7日に首相や維新の吉村洋文代表らが会談し、定数削減の見送りを決めた。直前まで首相が2法案を「維新との連立にとって枢要」と位置付けていただけに、ちぐはぐさが際立つ。 その中で、定数削減が昨年の臨時国会に続いて見送りとなったのは当然の帰結だ。 議論が1年でまとまらなければ、自動的に比例区のみ45議席を削減する今回の法案は、中小政党に不利で、多様な民意を国政に届けるパイプを細らせるなど問題が多い。本来優先されるべき企業・団体献金の見直しから論点をそらすものでもあり、見送りではなく断念こそふさわしい。 与党が成立を急ぐほかの法案も、同様に欠陥が目立つ。 皇室典範改正などの政府案には、養子のもとに生まれた男子が皇位継承資格を持ち得る点や、女性皇族の配偶者や子が皇族とならないことを前提としたとみられる内容が盛り込まれた。事前に取りまとめた「立法府の総意」からも逸脱する内容で、国会による合意形成を著しく軽視していると言わざるを得ない。後世にも禍根を残す。 参院では少数会派も参加できる特別委員会での審議としつつ、テレビやネット中継なしでの実施を与党が提案しているが、あり得ない。憲法1条は天皇の地位を「国民の総意に基づく」と定めており、広く国民に公開すべきだ。 副首都法案も、候補地選定の基準に対し「大阪ありき」ではないかなどの批判がある。拙速な対応は避けなければならない。高市首相がもたらした異例国会 自民議員「こんなにひどいの初めて」「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません






