【社説】与党が審議強行 繰り返される「数の横暴」、首相は改めよ2026年7月1日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●定数削減と副首都の法案について、与党が野党欠席のまま審議を強行している●未成立の法案も多いなか、連立維持のため維新が重視する法案を優先するものだ●丁寧な合意形成が民主主義の営みである。首相は国会の正常化に責任を果たせ

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国会の会期末まで2週間余り。政権の強引な運営が目に余る。高市早苗首相は全野党がそろって審議に応じなくなった事態を重く受け止める必要がある。「数の力」で押し通す手法を改め、国会の正常化に責任を果たすべきだ。 衆院議員の定数削減法案が衆院政治改革特別委員会で、「副首都構想」の関連法案が衆院地域活性化などに関する特別委員会で、いずれも野党が欠席するなか、自民党と日本維新の会の与党のみで審議が続いている。定数削減、副首都…幅広い合意が不可欠な法案 与野党協議が1年でまとまらなければ、自動的に比例区の定数を45削減する法案は、中小政党に不利で、多様な民意を国政に届けるパイプを細らせる。副首都法案は維新の大阪都構想を後押しするような規定は削除されたが、統治機構にかかわる論点を含む。 どちらも、党派を超えた幅広い合意が不可欠で、与党が数にものを言わせて進めていい話ではない。 野党の同意抜きに、与党の委員長が職権で日程を決め、審議を急ぐ展開は、今年度当初予算の年度内成立に固執する首相の意向を受けた衆院の予算審議と重なる。見誤っている優先順位 定数削減も副首都も、維新が連立入りの条件として、強くこだわったものだ。今回の審議強行の背景には、連立維持を優先する首相の考えがあるのだろう。防災庁設置法案や再審制度を見直す法案など、政府提出法案の十数本が未成立で、皇室典範改正案も加わった。やるべきことの優先順位を見誤っている。 首相が説明責任を果たすことに後ろ向きなことも、国会運営の支障になっている。 週刊文春などが報じた中傷動画問題では、公設秘書の陳述書を提出することで答弁を回避するかのような姿勢を見せた。与野党が昨年、予算成立後の4~6月に毎月1回は開くと申し合わせた党首討論も、5月の1回きりで、6月は見送られた。 自民が衆院選で大勝したからといって、有権者が連立政権合意書に盛り込まれたすべての政策に同意したことにはならない。また、最後は多数決で決めるとしても、さまざまな意見に耳を傾け、時間がかかっても丁寧に合意形成を図るのが民主主義の営みである。首相はそれをわかっているのだろうか。議長は指導力発揮を 野党から国会正常化に関する申し入れを受けた森英介衆院議長は与野党の幹部と会談し、定数削減と副首都の両法案について「互譲の精神」で協議することなどを求めた。議会政治を守るため、与党が姿勢を改めるよう、指導力を発揮すべきだ。「民主主義の根幹」めぐり与党が強行 「数の力」で合意形成切り捨て「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません