2026年6月15日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●与党が衆院定数の1割削減法案を再提出する。今回は比例のみ45議席を削る●国会のチェックを受ける立場の首相が主導する削減は三権分立の趣旨に反する●試算では与党の議席占有率は80%になる。「身を切る改革」ではなく党利党略だ
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多様な民意を国政に届けるパイプを細らせる議員定数の削減を、あくまで「数の力」で押し通そうというのか。自民党と日本維新の会は、法案提出を見送り、選挙制度をめぐる与野党協議の場で合意形成をめざすべきだ。 与党が衆院議員の定数を1割削減する法案を了承した。与野党の選挙制度協議会で議論し、1年以内に結論が出なければ、比例区を45議席、自動的に削減する。高市早苗首相は維新の藤田文武共同代表との会談で「必ず今国会で実現する」と伝えたという。半年前の「小選挙区25、比例区20」案から一転 2025年末に提出され、衆院解散で廃案になった法案では、削減の対象は小選挙区25、比例区20だった。小選挙区と比例区のバランスに一定の配慮が示されたが、今回はそれもかなぐり捨てた形だ。 自民の方針転換は首相が主導した。党内論議に先立ち、比例区のみの削減という維新の主張に沿った案でまとめるよう、鈴木俊一幹事長に指示したのだ。維新との連立維持を優先した判断だろう。 比例区は、大政党に有利で、落選者に投じられる死票が多くなる小選挙区の欠点を補うために設けられた。比例の大幅削減は中小政党への打撃が大きく、少数派の声が切り捨てられる懸念がある。 首相の指示は党総裁の立場に基づくものとはいえ、首相は行政府の長として、国会からチェックを受ける身である。立法府の行政監視機能を弱めかねない「改革」を先導することは、三権分立の趣旨に沿うとは思えない。得票率と議席占有率との差、一層大きく 先の衆院選の結果に比例区45削減を当てはめた試算では、与党の議席占有率は現在の76%から80%になる。小選挙区と比例区を合わせた与党の得票率は半数をわずかに超える程度なので、議席占有率との隔たりは一層大きくなる。「身を切る改革」を標榜(ひょうぼう)するが、実際は与党に有利な党利党略ではないか。 維新の吉村洋文代表は朝日新聞のインタビューに、参院で否決された場合に、衆院の「3分の2」以上での再可決をしてでも成立させるべきだと語った。衆院のことだから、衆院だけで決められるという理屈のようだが、選挙制度は国会の構成を決める民主主義の土台である。与党のみで決めていいはずがない。 そもそも、衆院の定数削減は、維新の強い要求で連立政権合意書に盛り込まれた。維新が求めた企業・団体献金の廃止を自民がのめないため、論点をすり替えたものだ。本当に身を切りたいのなら、企業・団体献金の見直しや政党交付金の減額など、他に手段はあるはずだ。自民と維新に「痛み」少なく 衆院議員の「比例45減」まるわかり「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







