【社説】ベネズエラ地震 圧政と失政が広げた惨禍 国際支援に総力を2026年6月29日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●ベネズエラ地震の死者が1400人を超えた。機材不足で救助活動は難航している●長年の圧政や経済危機で救援・医療体制が弱体化。被害拡大に政治の責任は重い●軍事介入した米国は復興まで息の長い関与を。日本も知見を生かし支援を尽くせ

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南米ベネズエラを大地震が襲った。長年の圧政と経済危機で疲弊した国に、米国の軍事介入も重なり、救援や医療の体制の立ち遅れが被害を深刻にしている。人命救助を含め、国際社会は被災者支援に総力を挙げねばならない。 ベネズエラ北西部で24日、マグニチュード7・2の地震が発生、約40秒後に同7・5の地震が続いた。死者は1400人以上。数万人の安否確認が続いており、犠牲者はさらに増える恐れがある。首都カラカス北方の沿岸部では高層住宅などが倒壊。余震も頻発し、住民が屋外で不安な夜を過ごしている。 カリブ海プレートと南米プレートの境界にベネズエラは位置する。今回に匹敵する規模とされる1900年の地震は死者約140人。当時は低層住宅が中心で人口も分散していた。現代のベネズエラは違う。石油ブームを背景に都市に高層ビルが立ち並ぶ一方、貧困地区にはれんが造りの脆弱(ぜいじゃく)な家が密集する。 惨事をもたらしたのは地震の規模だけではない。チャベス政権以来の失政や腐敗に米国の経済制裁も重なり、医療や交通などの公共サービスは著しく弱体化。重機や装備が行き渡らず、多くの住民が素手でがれきを掘り、家族や隣人の救助にあたっている。 この10年余りで国民4人に1人に相当する約800万人が経済的苦境や圧政を逃れて国外へ流出したことも危機への対応力を弱めた。医療や災害対応の専門家など緊急時に必要な人材が失われた。被害が膨らんだ背景には、国民の安全を軽視し、備えを怠ってきた政治の責任がある。 各国の救助隊や支援物資が次々と現地入りしている。米国は輸送機、ヘリ、救助隊を投入し、本格的な救援活動に乗り出した。日本からもNGOの緊急支援チームが出発した。ベネズエラは多くの名選手を日本のプロ野球に送り出してきた。日本になじみのある国で起きた惨事でもある。 米国の責任は重い。トランプ政権は今年、マドゥロ前大統領を武力で排除し、ロドリゲス暫定政権を支えてきた。現体制に深く関与した以上、行政機能の立て直しやインフラ復旧、復興まで長期的な支援を担う必要がある。 日本政府は「必要な支援を行う用意がある」との外相メッセージを出し、国際協力機構(JICA)の調査団も現地入りした。ニーズを踏まえ、支援を速やかに具体化してほしい。幾度もの震災を経験し、蓄積してきた知見を国際社会と分かち合うことは、日本が平和国家として果たすべき重要な責務だ。ベネズエラ地震の死者1430人に 経済損失1兆円超、GDPの6%「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません