2026年6月24日 6時00分小西孝司印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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かつて高野山のふもとの集落では、寺の経典や日用品に使う手すきの和紙が農閑期に作られた。失われゆく地元の誇りを知ってほしいと開かれる「紙の縁日」と名付けたあかりの催しが今年、5回目を迎える。 高野山西北のふもとにあたる和歌山県高野町細川。不動谷川沿いにある八坂神社のすぐ隣の建物で3月、津田睦子さん(65)は「kamito works 細川紙十(かみと)工房」と名付けた工房を開いた。「和紙を身近な暮らしに生かしていきたい」 橋本市の生まれ。大阪芸術大学を卒業後、大阪でグラフィックデザイナーとして働きながら和雑貨店を経営した。 母親の介護で実家と行き来するうち、九度山町の紙すき体験施設「紙遊苑(しゆうえん)」を訪れ、九度山町と高野町の集落が紙すきの産地として「高野紙十郷(こうやがみじゅうごう)」と呼ばれた歴史を知った。2021年、高野町の地域おこし協力隊の募集に手を挙げた。 高野紙を作るのは高野山から流れる川の水を利用した農閑期の仕事だった。地元のススキを編んだすだれ状の「簀(す)」ですき、水を絞るための圧搾をせず、厚みや強さが特徴のひとつ。高野山の寺院のほか、和傘や障子紙などの日用品にも使われた。 「素朴さ、おおらかさがある和紙です」と津田さん。原料のコウゾは山で自生したものを集める。紙すきには、繊維を水中で均一に分散させる役割を果たす植物の粘液「ネリ」が欠かせないが、その植物のトロロアオイを栽培する。 八坂神社では毎年7月、御旅所巡行やサカキに短冊をつるす七夕神事があるが、関係者から「もうちょっとにぎやかにならないかな」と言われた。 考えたのが、「紙の縁日」の催し。和紙を高さ5~6センチ、直径3センチほどの円筒形にして、内部にLEDを入れた「和紙あかり」を制作。拝殿や境内の灯籠(とうろう)などに置いて点灯すると、参拝者が「きれい」と感動した。「和紙のあかりは幻想的で幽玄。あたたかいんです」 住民と一緒に実行委員会を結成し、あかりの和紙を一緒にすく。近くの南海電鉄紀伊細川駅に通じる道沿いにも置く。「静かな谷あいの集落で続く祭りとともに、空の星やホタル、和紙あかりを見に来てほしい」 □ 今年の「紙の縁日」は7月4日午後3時から。和紙あかり約1200個のほか、高野山こども園の園児たちが絵を描いた和紙のうちわも展示する。和太鼓演奏や紙芝居、橋本狂言会による狂言などもあり、飲食の屋台も多数出る。和紙あかりの点灯は午後7時ごろから。 南海電車での来場を呼びかけている。神社は紀伊細川駅から徒歩8分ほど。問い合わせは津田さん(0736・20・9010)。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

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