ストーリー「松阪牛発祥の地」復活へ 廃業の危機一転、牛飼い名人の技を次代に本井宏人印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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「松阪牛発祥の地」の三重県松阪市飯南町深野地区で、約140年続く肥育農家が、産地の復活を託す新牛舎を建てた。高齢と相次いだトラブルのため、一時は廃業を考えたが、名古屋市の企業の支援を受けて危機を乗り越え、長男夫婦が「牛飼い」を引き継ぐことも決まった。 明治時代初期に兵庫県産の但馬牛の農耕牛を、肉牛として育て上げたことから「松阪牛発祥の地」と言われる深野地区。この地区の肥育農家、森本武治(たけじ)さん(78)は「牛飼い」の3代目に生まれ、市内にある特産松阪牛の老舗料理店「和田金」の精肉部門で修業後、1991年に家業を引き継いだ。 牛舎には山の湧き水を引き、天日干しした稲わらなどを配合したえさ作りや、食欲を刺激するため牛にビールを飲ませるなど、伝統的な肥育法をさらに進化させてきた。97年には、品評会の松阪肉牛共進会で、育てた牛が特産松阪牛女王にあたる優秀賞1席を獲得し、約905万円の値がついた。松阪牛に5259万円!競りで見せたスーパー社長の「家売る」覚悟 深野地区では、森本さんら3人ほどが「牛飼い名人」とも呼ばれ、業界で一目おかれてきた。 森本さんがこだわってきたのは、松阪牛の中でも5%に満たない最高級の特産松阪牛の肥育だ。 特産松阪牛は、兵庫県産の子牛を松阪地域で900日以上肥育した出産経験のないメスの黒毛和牛。長期肥育のため、えさ代がかさみ、出荷前に死ぬリスクも高まるが、「深野の伝統を絶やしてはならない」と、兵庫県産以外の子牛は一切、育ててこなかった。コロナ禍が追い打ち…支援の手をさしのべたのは ところが、コロナ禍の2020年から、雲行きが怪しくなった。共進会は2年連続で中止になり出品できない。それまで10頭前後を育てていたのが、子牛の高値やえさ代の高騰などで資金がまかなえず、22年には4頭に。さらに3頭がビタミン不足で死んでしまい、12月に1頭を出荷すると牛舎はついに空になった。 「今までのやり方では通用し…この記事は有料記事です。残り992文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする