この社説のポイント●SNSと子どもをめぐる問題は世界的課題。子どもを保護する機能や使用年齢の設定の改善を、事業者に求められる仕組みに●既存の対策には抜け穴も。利用者のリテラシーにかかわらず機能する安全対策を●子どもたちが納得できるよう、当事者の声を聞きながら進めたい

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スマホを持ち始めた子や孫がSNSに没頭する姿に、心配になった経験のある人もいるだろう。オンラインいじめや犯罪被害、長時間使用などSNSと子どもをめぐる問題は世界的課題になっている。 主要7カ国(G7)首脳会議は今年、未成年者のための安全なデジタル空間作りに尽くすという声明を打ち出し、その中で事業者がサービス設計段階から安全性を確保する必要性にも踏み込んだ。 オーストラリアは、「成長の重要な段階にある若者を守る」として16歳未満のアカウント保持を防ぐ合理的措置を事業者に義務づけている。 主なSNSは利用規約でアカウントを作れる年齢を「13歳以上」などと定めている。ただ、子どもの個人情報の扱いに関する米国などの規制に対応した設定とみられ、SNS特有のリスクからの保護という点で十分とは限らない。 英国も6月に方針を発表するなど年齢による一律制限が広がる中、デジタル空間の情報流通の課題を話し合う総務省の検討会の部会は、同月の第1次報告書案で見解を表明。SNSごとに設計・特性が違うことなどから、一律制限は望ましくないとした。 重要なのは、一律かどうか以上に、事業者任せにせず外部から検証・是正できる仕組みを作ることだろう。 報告書案は、各事業者に「使用適正年齢の設定理由と年齢確認手法」の公表を求めるべきだとした。また「サービスのリスクの評価と保護措置」の実施・公表を求め、外部から再評価する仕組みの構築も提案した。 再評価に必要な情報公表や、再評価後の改善を事業者に確実に求めるためには、一定の拘束力を伴う仕組みが必要だ。使用適正年齢が妥当かどうかも、評価し改善を促す仕組みが求められる。子どもたちが納得できるように 既存の安全対策が素通りできてしまう点も問題だ。現状は、携帯電話販売時のフィルタリング(閲覧制限)設定は徹底されず、SNS利用開始時の年齢確認は自己申告頼み。穴をふさぎ、利用者のリテラシーにかかわらず機能するようにしていきたい。 SNSが情報検索やつながりの命綱だという10代は多いだろう。一方、SNS上の人間関係に悩む子や、「勉強したいのにやめられない」と苦しむ子もいる。国立病院機構・久里浜医療センターの調査では、依存傾向などSNSの「病的使用」の疑いは、10代は約7%で他年代を上回る。 こども家庭庁でさらに議論が続く。子どもたちが納得できるよう、声に耳を傾けながら仕組みを作っていきたい。年齢で一律規制しないのはなぜ 子どもとSNS、総務省が報告書案◆年齢によるSNS利用制限 各国の例こども家庭庁が6月15日に発表した資料などを元に作成【既に実施】オーストラリア、インドネシア、マレーシア(16歳未満)【法案提出中】フランス(15歳未満)、ニュージーランド(16歳未満)【方針の発表など】ドイツ(14歳未満)=与党の方針、ギリシャ(15歳未満)、イギリス(16歳未満)「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。