「急に具合が悪くなる」で濱口監督がケアの技法を題材にした理由とは藤谷和広印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

[PR]

今年のカンヌ国際映画祭で主演2人が女優賞に輝いた「急に具合が悪くなる」が19日、全国で公開される。題材の一つになっている「ユマニチュード」という介護の技法をめぐって、監督の濱口竜介さんと創始者のイブ・ジネストさんが語り合った。濱口さんとジネストさんのほか、プロデューサーの松田広子さん、日本ユマニチュード学会代表理事の本田美和子さんを交えた座談会が6月9日、東京都内で開かれました。濱口さんはユマニチュードをどう捉えたのか。座談会での発言をもとにたどります。 フランス語で「人間らしさ」を意味するユマニチュードは「見る」「話す」「触れる」「立つ」を四つの柱に掲げる。 介護施設の施設長マリー=ルー(ビルジニー・エフィラ)はユマニチュードを浸透させようとするが、人手不足やリスクに懸念を抱く現場のスタッフと衝突する。思い悩むなか、がん闘病中の演出家、真理(岡本多緒)の舞台を見に行く。偶然出会った2人が対話を重ね、関係を深めていく物語だ。 体育学の教師だったジネストさんは1979年から看護師の腰痛対策に取り組むようになり、寝かされたままケアを受けている認知症の高齢者が多いことに衝撃を受ける。ケアをする側は「起きて下さい」と働きかけることもなく、抵抗する人を「攻撃的」だとみなし、押さえつけていた。目線を合わせ、話しかける ジネストさんは同じく体育学の教師だったマレスコッティさんとともに、「立つことは人間の尊厳に関わる」と位置づけ、ユマニチュードを開発。目線を合わせて話しかけ、これから何をするか説明し、背中や肩から優しく触れることで、「あなたのことを大切に思っている」と伝える。 濱口さんは「よりよくケアすることによって、ケアする側の尊厳が保たれる」というユマニチュードの考え方に共感したという。取材のために参加した研修では、「患者さんが反応してくれたときに、看護師さんが『ありがとう』と言っていた」。ジネストさんは「私たちもケアを必要とする人に頼っている。頼ることで人とのつながりが生まれる」と語った。 ジネストさんはマレスコッティさんとの共著「『ユマニチュード』という革命」のなかで、私たちが「自分の感情を正直に表現すること」「相手に近づくこと」を恐れているとしたうえで、「よいケアは自由な二人の出会いそのもの」と指摘している。 映画で描かれているのも、ま…この記事は有料記事です。残り1196文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人藤谷和広くらし科学医療部|医療、災害専門・関心分野民主主義関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする