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2025年の秋季兵庫県大会は8強止まりのチームが、一冬越えて大きく力を伸ばした。報徳学園は春季近畿地区高校野球大会で16年ぶりの優勝を達成。特に活躍が目立ったのは投手陣だ。課題だった制球難を克服した背景に、独自の育成メソッドがあった。ポイントは出力 「春は野手に頑張ってもらおうと話していたんですけど、ピッチャーが本当に引っ張ってくれた」。大角健二監督は、驚きと喜びが混ざった表情で投手陣の急成長について語った。 この春は兵庫県大会3回戦から近畿大会1回戦まで、3投手による5試合連続完投で勝ち上がった。その1人、左腕の沢田悠佑(3年)は「投手全員がしっかりストライクゾーンで勝負できるようになったのが大きい」と振り返る。 25年秋の兵庫県大会は投手が荒れた。3回戦で強豪・明石商に5―2で勝利したが、2投手で計10四死球を与えた。さらに次戦の準々決勝は、その年の夏の甲子園に出場した東洋大姫路を相手に、4投手でまた計10与四死球。投手が誰も試合を作ることができず、2―5で敗れた。 制球難の克服には何が効果的だったのか。投手を指導する礒野剛徳部長は「最も大きかったのは1週間500球の投げ込み」という。 1週間500球は、高校野球の試合における球数制限と同じ数だ。制限ぎりぎりまで投げさせる練習は、選手の肩ひじに大きな負荷がかかる。礒野部長は「確かに実戦なら良くない」としたうえで、練習の核心を明かす。 「この投げ込みのポイントは出力を60~70%に抑えることです」 確かに、緩く投げれば肩やひじへの負荷は減らせる。報徳学園を担当する理学療法士の小松稔さんは、「肩ひじにかかるストレス(負荷)は、大まかに言えば『投球強度×球数』なんです」と話す。 「礒野部長からこの練習を相談されたとき、なるほどと思った。オフの期間に投げるスタミナを身につけることは大事で、試合でのけが予防にもつながる」重要なケアと管理 礒野部長はプロ野球のキャンプで投げ込む投手たちを見て参考にしたという。冬の2カ月間、報徳学園の投手陣は1日100球を目安に、ブルペンでテンポ良く投げ込んだ。全力で投げない分、ボールをコントロールしやすい。球速ではなく、力感のないフォームで思った通りのコースに投げる感覚を指、腕、そして体にしみこませた。礒野部長は言う。 「ゴルフのスイングと同じで、投球において最も大事なのは再現性と思っている。正しいフォームでストライクを投げる感覚を体が覚えたら、試合で思い切り投げる場面が来ても崩れることなく制球は安定する」 重要なのは体のケアだ。選手はマッサージやストレッチだけでなく、1日の投球数をアプリで記録。その情報を指導者のほかトレーナーや理学療法士にも共有し、日々のチェックで体の状態に異変があれば投球練習をやめた。また、投げ込みの対象は3年生と一部の2年生に限った。「山ラン」、食トレも 冬の強化は投球練習だけではない。兵庫県西宮市にある学校から自転車で15分ほどの距離にある山の階段を走って登った。ダッシュしたり、部員同士でおんぶしたり。この「山ラン」で下半身の筋力と、練習についていく体力を鍛えた。食生活にも気を配り、「身長(センチ)マイナス105」の体重(キロ)を目標に体作りに取り組んだ。 選手たちは効果を実感している。2年生の谷口哲聖(てっしょう)は「冬を過ぎたらスピードも上がってストライクも取れるようになった」。沢田は、冬の期間でオーバースローからサイドスローへのフォーム変更に成功。「スライダーのキレが上がって三振が取れるようになった」。江藤達成(3年)は「昨秋からボール球の数が明らかに減った。劇的に変わった」とし、球速の最速も3キロプラスの149キロに上がった。 第108回全国高校野球選手権兵庫大会は7月4日から試合が始まる。近畿大会で背番号1を背負った沢田は「仲間にも負けてられない気持ちが強い」としつつ、「一緒に頑張ってきた投手陣の力で優勝したい」。2年ぶりの甲子園出場をめざし、マウンドでライバル校に立ちはだかる。






