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学校教育法の改正で「義務教育学校」の設置が認められてから、今年で10年。教育改革や人口減少への対応などさまざまな背景をもとに、小学1年生から中学3年生まで9年間一貫で教育する学校は増え続けている。先進地では成果があらわれる一方、学校が増えている背景には本来の理念との乖離(かいり)があるとの指摘もある。まなviva!(学び場)幼い子どもから、人生のベテランまで。日々の暮らしの中に、学びは満ちています。「学ぶ」をとりまく最新事情を伝えます。 東京都品川区の義務教育学校・豊葉(ほうよう)の杜(もり)学園で3月、「市民科」の授業が公開された。約150人の9年生(中学3年生相当)が24班に分かれ、地域の課題解決に向けた政策提言を考える。区職員33人が生徒と机を囲んで話し合った。 ごみ集積所のカラス対策を考える班では、生徒が区清掃事務所の職員とやりとりしていた。 「(家庭ごみの収集場所で)容器に入れてごみを出すようにすることはできないんですか」 「お金はかかるけど、よりよい生活のためだとみんなが納得すれば実現できるかもしれないね」 生徒は職員の助言をもとに提言をブラッシュアップし、自治体の助成金活用といった財源策も添えて発表。職員は「大人が思いつかないような考えを見つけてくれた。私たちも参考にしながらカラスの被害を減らす努力を続けていきたい」と講評した。全国に先駆け20年前から 市民科は区が独自に教科として定めている。道徳や特別活動、総合的な学習の時間を統合する形で、小中一貫教育と同時に始まった。義務教育課程の9年間を通じて「社会の形成者としての資質と能力を育てる」ことをめざす。教科書も区が独自につくる力の入れようだ。 授業に参加した井藤佳奈実さん(当時9年)は「区の職員が真剣に話してくれて、自分たちの案をどうすれば実現できるか考えることができた」。大屋宏太郎さん(同)は9年間を振り返って「区長の仕事体験など、他の自治体にはない学びが多かった」と話した。 品川区は全国に先駆け、2006年度に区内全域で小中一貫教育を導入した。「中1ギャップ」と呼ばれる、中学進学と同時に不登校やいじめが増える問題に対処すると同時に、小学校と中学校の学びの重複を解消するなどの狙いがあった。 その後を追うように国が学校教育法を改正し、2016年度から義務教育学校の仕組みが始まると、すでに校舎が一体となっていた6校を順次義務教育学校に衣替え。その他の学校も近場の小学校と中学校でグループをつくって交流を図りながら、9年間を一貫したカリキュラムのもとで学んできた。 1999年に品川区の小学校に着任して以降、区立小の副校長や校長を歴任した高木圭一・区教育施策推進担当課長(53)は導入当初を「他の自治体には全くないものだったが、教育委員会の強力なリーダーシップのもと何をすべきかが明確に示されていた」と振り返る。例えば市民科では、学年に応じて4種類の教科書が用意され、学ぶ内容も明示された。「どの学校、教員でも一定の学びが提供できる態勢だった」という。 既存の教科でも一貫教育の成果はあらわれている。例えば英語は1年生から学び始める独自のカリキュラムを2006年度から導入。区によると、区内の9年生全体のうち英検3級相当以上の英語力を持つ生徒の割合は85.6%(2024年度)で、国の52.4%や都の61.8%を大きく上回っている。 一方で、こうした改革には批判もあった。「過度な競争」指摘も 学区を越えて希望する学校へ…この記事は有料記事です。残り928文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人初見翔ネットワーク報道本部専門・関心分野農林水産業と食、まちづくりとものづくり、教育・子育て関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






