【社説】北朝鮮の非核化に触れず 中朝首脳会談、問われる中国の責任2026年6月9日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●中朝首脳会談は協力の拡大で一致したが、北朝鮮の非核化には触れなかった●北朝鮮は核保有を既成事実化し、国際社会への脅威を強めている●中国は短期的利害よりも、東アジアの安定のため責任を果たすべきだ

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国際社会の一致した目標とされた北朝鮮の非核化は、議題にのぼらなかったのだろうか。今回の中朝首脳会談には首をかしげる。中国はみずからの思惑のみで北朝鮮との関係を利用するのでなく、地域の平和と安定に役割を果たさなければならない。 中朝両国が戦時の軍事援助などを約束した友好協力相互援助条約を結んで65年になる。両国の発表によれば、中国の習近平(シーチンピン)国家主席と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記は幅広い分野で協力を拡大することで合意した。習氏は中朝関係の強化で「地域と世界の平和、発展に積極的に貢献したい」と述べたというが、非核化への言及は見当たらない。 経済制裁下にある北朝鮮にとって中国は最大の後ろ盾だが、両国の関係はつねに良好だったわけではない。北朝鮮がウクライナに侵攻したロシアと軍事協力を深め、関係が冷え込んだ時期もあった。 ここにきて修復の動きが進み、金氏が昨年9月に訪中したのに続き、今回の習氏の訪朝となった。 北朝鮮は核・ミサイル開発を体制維持の生命線と位置づける。約60発の核弾頭を持つとされ、6月初めには金氏が新たな核物質生産工場を視察した。脅威は東アジアにとどまらない。金与正(キムヨジョン)朝鮮労働党総務部長は6日付の談話で「核保有国の地位は絶対不退の限界線」と強調した。 ロシアへの砲弾供給や兵士の派遣に対する経済的な見返りは制裁の包囲網に穴をあけた。北朝鮮が国連安保理決議に違反する弾道ミサイル発射を繰り返しても、国際社会は一致した対応がとれない。中東情勢の緊迫などもあり、核開発への国際的な関心や監視の目が薄れがちだ。 5月に北京であった米中首脳会談では、米側が北朝鮮の非核化を共通の目標として再確認したとしているが、中国側は沈黙を続ける。中ロ首脳会談後の声明では、北朝鮮の「安全を脅かすことに反対」と明言する一方、やはり北朝鮮の核には触れていない。中国自身も核弾頭の数を急速に増やしている。 中国が当面の米国への対抗や北朝鮮への影響力の確保といった短期的な利害のため、北朝鮮の核開発に目をつぶることは許されない。 かつて日米韓中ロが北朝鮮と同国の非核化をめざした「6者協議」があった。中国が議長としてまとめた2005年の共同声明は、北朝鮮が経済支援などと引き換えに核兵器・核計画の放棄を約束した。北朝鮮の核保有が望ましくないことは、中国にとっても変わらないはずである。習近平主席が7年ぶり訪朝 中朝関係は良好? 狙いは? 要点を解説「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする