ストーリー僕らがつくる「団地のつづき」 半世紀前、設計者が描いた夢受け継ぎ織井優佳印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
[PR]
現場へ! 団地の今を訪ねて(2) 東海テレビ放送(名古屋市)が2016年に制作した映画「人生フルーツ」は、丁寧に日々を過ごす老夫婦の日常を追ったドキュメンタリーだ。建築家の津端修一さんと妻の英子さんが暮らす木立の中の平屋は、津端さんが基本設計を担った愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンにある。自然と共生するまちづくりを目指したが、完成したのは無機質な大規模団地だった、と映像の中で津端さんは述懐する。 「人にとっての豊かさとは何か」を考え続けた津端さんが描いた基本設計は、高低差がある地形を残して谷筋に幹線道路を通し、尾根筋に学校や公園などを配置。住宅は間の斜面に造られた。自然な起伏が変化のある緑の眺望を生んだ。当時の日本住宅公団メンバーも「他のニュータウンに比べればマシ」と評していた。 監督を務めた東海テレビの伏原健之さん(57)は、「満点じゃなくても、高蔵寺には津端さんの理想が息づいていると思う」。通算2年ほど、高蔵寺に取材に通った。「仕事柄、高層ビルが並ぶ景観をかっこいいと思ってきたが、津端さんは『あんなのは美しい風景じゃない』と言っていた」と振り返る。豊かさの中心、人から経済へ しかし津端さんは、団地群が完成するにつれて、「豊かさ」を考える中心が「人」から「経済」へと移る価値観の転換を感じ、違和感を覚えたのではないか、と伏原さんは考えている。 そして津端さんは、実現できなかった理想を嘆くだけでなく、ニュータウンの一角で雑木林を育て、キッチンガーデンをつくって、自分が信じる豊かさを実践する小さな理想郷を築こうとした。伏原さんが取材に通った頃、津端さんは我が子がねだった人形の家も木で自作したと話し、手間暇かけた丁寧な暮らしを実践していた。 「津端さんは世の中が進むべき方向を実験していた。真の豊かさを問い続けるその姿勢が、今、改めて多くの人に響き始めていると感じます」千里、多摩と並ぶ3大ニュータウン 高蔵寺は、日本住宅公団(現…この記事は有料記事です。残り1037文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






