インタビュー敗戦国の日独、なぜ秩序の擁護者に マゾワー教授が考える国連と帝国聞き手・青山直篤=ニューヨーク印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

[PR]

20世紀欧州史の世界的権威、米コロンビア大学のマーク・マゾワー教授は、国連そのものが「帝国」の産物でもあったと論じてきました。イランへの攻撃など米国の行動で、国連を一つの柱とする戦後の国際秩序が脅かされるなか、それでも国連が示しうる意義とは何か。日本の歩みとも重ね合わせながら、詳しく聞きました。土曜の議場に見えた国連の限界 「力」が支配する世界への回帰【連載】帝国の幻影 壊れゆく世界秩序 ――トランプ米大統領は「国際法は必要ない」と言い、側近のミラー大統領次席補佐官は「我々は強さと武力が支配する現実の世界に生きている」と語りました。では、国連やその前に作られた国際連盟はユートピア思想の産物だったのでしょうか。 全くそうではありません。国際連盟も国連も、二つの世界大戦をともに戦った英米のエリート層に共有された、新しい国際平和機構を築くことが彼らの国益にかなうという計算に基づいたものでした。リベラリズムの思想潮流が影響を与えたことは確かですが、まずは英国という帝国の打算、そして、米国がその権力を最も効果的な形で世界に及ぼすにはどうすればいいのかという計算が、強く働いていたのです。 ――国際連盟はナチスドイツの挑戦で失敗しました。 ナチスドイツは国際法や国際機構に極めて批判的で、国際連盟を第1次大戦後の不公正な戦後体制として攻撃しました。ドイツの思想家カール・シュミットは「国家は力に差があり平等ではない。平等であるかのように装う機構は単なる偽善に過ぎない」と断じたのです。 シュミットは(トランプ政権がベネズエラ攻撃などを正当化するのにも用いた)「モンロー主義」を彼なりに解釈し、地域の覇権国家が弱小国を支配して秩序を維持すべきだ、と論じました。第1次大戦後の体制がはらんだ「偽善」 ――日本でも、後に首相となる近衛文麿が1918年の論文「英米本位の平和主義を排す」で、第1次大戦後の秩序を、日本のような「持たざる国」に不利なものだとして批判していました。 日本にも、国際連盟は新しい…この記事は有料記事です。残り1960文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人青山直篤アメリカ総局員専門・関心分野米国、国際政治・経済、日米関係、近代史関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする