視点・解説止められない戦争、「帝国」の前で国連は無力か 私たちの問題意識2026年6月8日 7時59分ニューヨーク支局長・田村剛印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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連載「帝国の幻影~壊れゆく世界秩序~国連は無力なのか」 私たちの問題意識 ニューヨーク中心部のマンハッタンに立つ国際連合の本部ビルは、世界の近代建築を代表する建物として知られています。1950年に完成した地上39階建ての高層ビルは、東西の両面がほぼ全面ガラス張り。戦後間もない当時としては画期的なデザインでした。 ガラスの壁面には、周囲にある石造りの古いビル群が映り込み、太陽の光がきらきらと反射して見えます。輝く建物の姿から伝わってくるのは、国連が創設された当時の国際社会の高揚感です。 世界の平和と安全の維持、人権の尊重、国際問題の解決――。 国連憲章に刻まれた創設目的は、人類史上で最悪の惨禍となった二つの世界大戦への深い反省から生まれたものでした。まさにこの理念こそが戦後の新しい秩序の象徴であり、この80年、国際社会の基盤となってきました。 しかし今、それが根底から脅かされる事態になっています。大国が「自国ファースト」や「力こそ正義」といった姿勢を露骨に見せ始めているからです。 戦後の国際秩序が急速に崩壊しつつあるのではないか――。 そんな危機感をもとに、私たちが激変する世界の現状を伝える連載企画の準備を始めたのは、ちょうど2年前のことです。 国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアはウクライナ侵攻を続け、中東ではイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が凄惨(せいさん)を極めていました。毎日のようにおびただしい数の人命が奪われても、安保理は問題を解決することができませんでした。 その後の世界情勢は、さらに悪化しています。ウクライナやガザをめぐる状況は今も出口が見えないままです。常任理事国の米国では2度目のトランプ政権が誕生し、今年になってベネズエラやイランへの軍事攻撃に踏み切りました。トランプ大統領は帝国的な野心を隠さず、「私には国際法は必要ない」と広言しています。 音を立てて崩れていく世界秩序のひずみは、国連を取り巻く状況に凝縮されています。 国連憲章が原則禁止する武力行使に自ら踏み込む常任理事国と事態を変えられない安保理、「法の支配」を軽視する大国、軍事費が優先されて縮小される人道支援……。国際社会が掲げた理想はいま、消えゆきかねないほどの危機に瀕(ひん)しています。 なぜ戦争を止められないのか。暴走する大国の前で国連は無力なのか。国連の誕生から81年。壊れゆく世界秩序について伝えてきた「帝国の幻影」シリーズの最終章は、かつてないほどに行き詰まる国連の現状に焦点を当てます。【本編はこちら】国連の存在揺さぶる米国 80年前、トルーマンが体育館で発した警告【国連とは? そもそも解説】 資金繰りに苦しむ国連、トップは来年交代有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人田村剛ニューヨーク支局長専門・関心分野アメリカの社会や文化、民主主義、人権、移民問題関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






