深掘り田中恭太=ニューヨーク 喜田尚印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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帝国の幻影~壊れゆく世界秩序~国連は無力なのか【1】 米国のウォルツ国連大使は3月、国連安全保障理事会のメンバーや事務総長をある場所に招待した。ニューヨーク・マンハッタンの国連本部から15キロ離れた、大学の古い体育館だった。 天井からバスケットボールのゴールがつり下がるその場所では80年前、当時の米国大統領、トルーマンのメッセージが読み上げられた。 「国民を代表し、安保理の理事国や事務総長、職員の皆さんを歓迎します。国連が我が国をその居場所として選んだことを大変光栄に思う」 1946年3月、米国で安保理が初めて開かれたときのことだった。当時、国連本部はまだ完成しておらず、仮の議場として使われたこの体育館はいわば安保理の原点だ。ウォルツ氏や各国大使らの訪問は、80年を記念したものだった。 広島、長崎への原爆投下を決断したことで知られるトルーマンは45年4月、ルーズベルト大統領の急逝で大統領に昇格し、国連構想を引き継いだ。アナン元事務総長は「ルーズベルト氏が国連の設計者ならトルーマン氏は建築責任者だ」と表現した。 だがこのとき、トルーマンは警告も発していた。 「団結し共に協力し続けなければ、(国連の)居場所はどこにも存在し得なくなってしまうだろう」 設計者であり、建築責任者――。国連の設立を主導したその米国自身が今、「団結」に背を向け、国連の存在を窮地に追いやっている。【帝国の幻影 最終章】戦後の世界秩序の柱であり、そして象徴と言えるのが国連です。ですが今、80年前に掲げた理念からかけ離れた動きが相次ぎます。なぜ戦争を止められないのか。暴走する大国の前で国連は無力なのか。壊れゆく世界秩序の現在地を伝える連載の最終シリーズでは、国連を取り巻く現状を報告します。 この会議の3カ月後、ニューヨークに生まれたのが、トランプ大統領だ。 トランプ氏が昨年1月に第2次政権を発足させて以降、米国は加盟国の義務である分担金の支払いをほとんどせず、国連は深刻な資金難に陥った。人道支援などを担う国連機関への拠出も停止し、多くの国連組織からの「脱退」も表明した。「アメリカ・ファースト」と国連 国連総会では、多様性やジェ…この記事は有料記事です。残り1208文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人田中恭太ニューヨーク支局専門・関心分野国連、米国社会、国際情勢、裁判、独占禁止法関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






