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14年前、長男が生後9カ月のころだった。東京都内に住む女性(51)は、夫から暴力を受けるようになった。 夫婦げんかがエスカレートし、夫が女性のノートパソコンを捨てようとした。慌てた女性が取り戻そうとすると、夫は女性を引きずったままマンションの外に出た。 血だらけになった女性を見かけた通行人が110番通報した。 警察官から「お二人は結婚していますか」と聞かれ、うなずくと、「夫婦関係には介入できない」と言われた。 家の中のことは、誰も助けてくれないんだ――。絶望した。 3歳年下の夫と結婚したのは、35歳のときだ。国際機関に勤め、見た目もよかった。すぐに意気投合し、つきあって3カ月でスピード婚した。出産のタイムリミットが迫り、早く結婚したいと焦る気持ちもあった。 結婚する前、夫が母親に高圧的な態度を取る姿を見て気にはなっていた。だが、親子関係の問題だと考えた。 その攻撃性は、女性にも向かうようになった。 民法が改正され、4月から、離婚後も父母の双方が親権を持てる「共同親権」が始まります。一方で、DV被害者からは懸念の声が上がっています。 育児でヘトヘトなのにおむつが家に転がっていたり、皿が洗われていなかったりすると、夫は「お前が悪い」となじった。 長男が発達障害の診断を受け、学校に行き渋ったときも「お前のせいだ」と責任を押しつけてきた。ほとんど子育てをしないのに「おれがやれば、慶応に入れることができる」と豪語した。 殴る蹴るの暴力もふるわれるようになった。「母親が犠牲は当たり前」呪いの言葉 女性は、自分に言い聞かせてきた。「仕事のストレスが原因かもしれない」「自分が頑張ればなんとかなる」 夫との関係を改善したくて、何度も話し合いの場を持とうと思った。だが、話がかみ合わなかった。 長男のことで通っていた自治体の家庭支援センターに、夫のことを相談したが、助言は得られなかった。実家の母に相談しても「お前が我慢しろ」「母親が犠牲になるのは当たり前」と言われた。 夫の行為は家庭内暴力(DV)と受け止められず、女性は追いつめられていった。次第に不眠がひどくなり、医療機関で薬を処方されるようになった。 「このままでは身が持たない」と、長男と4歳下の次男を連れ、マンスリーマンションや民泊を転々とする生活が始まった。子どもから母への暴力、虐待の連鎖 そのうち中学生の長男が小学…この記事は有料記事です。残り993文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人岡崎明子編集委員|イチ推しストーリー編集長専門・関心分野医療、生きづらさ、ジェンダー、働き方関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする