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「子ども3人を連れて家を出たのは結婚15年目、38歳の時でした」 名古屋市に住む鷲野登喜子さん(78)は、手元のメモを見ながらそう話す。 母の強引な勧めがあって、23歳でお見合い結婚。 恋愛経験がなく、結婚願望もなかったが、「母の言うことには逆らえない」と思っていた。 相手は8歳年上。無口なところが少しだけ父に似ていた。 でもやっぱり、初めて会う人と結婚するなんて無理だ。 男性の方から断ってもらえれば、角が立たないのではないか。 そう思い、お見合いの後で何回か会った時に「あなたから断っていただけませんか」と相談した。 すると「僕は決めました。あなたと結婚します」と言われてしまった。 それを聞いて、他人事のように「あ、そうなんだ」と思った。 私の気持ちなんて関係ないんだ、と心にフタをした。家を出る覚悟を決めて 「結婚してからは、女性を下に見るような言動をするようになり、お酒を飲んで暴力を振るうこともありました」 結婚の翌年に長男が生まれ、年子で次男が誕生。 子どもたちのためにも、と耐え続けた。 転機となったのは、中学校に上がる長男が、こう言い出したことだった。 「俺は家を出て1人で暮らすから」 夫が暴れているところを見られないように、と意識していたが、当然わかっていたようだ。 「このままじゃ、息子や私が夫に何をしてしまうかわからない」 そう思い、家を出る覚悟を決めた。 当時、夫は単身赴任中で、帰宅するのは週末だけ。 いない時を見計らって、市内のアパートへと引っ越した。地球の反対側で生きるはずが 「家を出てからは『地球の反対側で生きてやる』と、がむしゃらに働きました」 だが、あの日から30年が経った68歳の時に、再び人生が交錯する。 きっかけは、次男からの1本…








