ストーリー2026年5月30日 9時00分編集委員・吉田純子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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世界3大音楽コンクールのひとつ「エリザベート王妃国際音楽コンクール」の最終選考結果が、5月31日午前に発表される予定だ。日本からは、兵庫県出身の北村陽さん(22)がチェロ部門の最終選考に残っているが、今年は、その優勝者に贈られる特別の「ご褒美」に注目が集まっている。パブロ・カザルスの愛器が4年間貸与されるのだ。 カザルスはスペインのカタルーニャ生まれ。フランコの独裁に抵抗し、スペイン内戦の勃発を機にフランスへ亡命。平和主義者としての国際的な活動でも知られる。コンクールの主催者側は「貸与は、生きた財産を若い世代のミュージシャンに引き継いでいく、というこのコンクールの価値を体現している」としている。 全てのチェリストにとっての「聖典」であるバッハの無伴奏チェロ組曲で歴史的名演を残し、この作品の評価を決定的なものにする一方で、指揮者や指導者としても活躍。ビオラ奏者の今井信子ら、数々の日本人演奏家の才能を発掘した。 その名を深く歴史に刻んだのが、自らアレンジし、生涯演奏し続けたカタルーニャ民謡「鳥の歌」だった。哀切感あふれるトレモロで始まるこの曲を1971年、94歳の時、ニューヨークの国連本部で「私の故郷のカタルーニャの鳥は、ピース(平和)、ピースと鳴く」と語って演奏した。今なお連帯の象徴として、世界中のミュージシャンに愛奏されている。 作詞家の松本隆もこの曲に感銘を受け、日本語の詩をつけた。大瀧詠一、ピンク・レディー、稲垣潤一、松田聖子、福山雅治らの楽曲に携わってきた編曲家でミュージシャンの井上鑑は、父で名チェリストの井上頼豊がよくこの曲を弾いていたことから「連歌・鳥の歌」プロジェクトを発足。箏(こと)の沢井一恵、ウクライナ人歌手のナターシャ・グジー、津軽三味線の吉田兄弟らがそれぞれの流儀で「鳥の詩」を演奏した。 その愛器は、イタリア・バロックが花開いたベネチアで活躍した弦楽器製作者、マッテオ・ゴフリラーが1733年に製作したもので、これまでもアントニオ・メネセスらの名手に弾き継がれてきた。 主催者側は、貸与について「生きた遺産を若い世代の音楽家に受け継いでいく、というこのコンクールの価値観を体現しているもの」としている。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人吉田純子文化部|本社コラムニスト、編集委員専門・関心分野音楽、舞踊関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする













