ストーリー中島隆印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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都営地下鉄の大江戸線。その両国駅から外に出て空を見上げる。東京スカイツリーが見える方へと、歩く。 数分もすれば、「MERI」という看板がある店につく。 「いらっしゃいませ」 歯切れのいい声がした。店の主、小高集(つどい)さん、54歳。2013年、墨田区に「オレンジトーキョー」という会社をつくり、「MERI」と名づけた布ぞうりを開発、販売してきた。 こんかいは、小高さんの、ジェットコースターのような10年あまり、をたどる。 家業は、祖父がつくった「小高莫大小(めりやす)工業」というメリヤス屋である。ポロシャツの襟や袖などをつくる衣料品メーカーの下請けだ。 大学をでて家業に入り、2005年、父をついで3代目社長になった。 下請け仕事の注文が減るなかで、オリジナル商品づくりを模索した。うまくいかない。 やばい。 頭の中に、「廃業」の2文字が浮かぶ。 布ぞうりをつくっている青森の工房と縁ができた。おしゃれで履き心地がいい布ぞうりの開発をはじめた。2012年、納得できる布ぞうり「MERI」を完成させた。 全国のデパートから引き合いが殺到した。羽田や成田の空港で売ると、外国からの観光客が、日本のおみやげに買ってくれた。 下請けをしている中小企業にとって、オリジナル商品をつくることは、悲願である。その商品がヒットするなんて、なかなかないことだ。 これで家業、なんとかなるぞ。心は高揚した。 小高さんは、全国のデパートや商業施設をめぐる。何十日も会社を留守にすること、たびたび。家業のためだ、社長の役目だ。そう思っていた。 2013年のある日、会社から「おやじ、怒ってる」との電話がきた。社長のくせに、どこに行ってるんだ。そう父は言って、怒りを社員たちにぶつけているという。 デパート行脚の日程をこなして、会社に戻る。父に紙を渡された。こう書かれていた。 「臨時株主総会」 父は、株式の66・7%をも…この記事は有料記事です。残り1048文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人中島隆編集委員専門・関心分野中小企業関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする