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大好きな漫画に登場するカレー店が、東京・下北沢に実在するらしい――。 そのことを知った、当時16歳の大澤典佳(のりか)さんは、「ぜひ行きたい!」と思った。 盛岡在住の高校生だったので、東京へ気軽に行くことはできない。 だが、それからまもなくして2023年8月、念願をかなえる好機が訪れる。 夏休み期間中に、東京の大学のオープンキャンパスに参加するため、上京することになったのだ。 国分寺に住んでいる姉の家を拠点にして、約1週間かけて複数の大学を巡ることを計画。 後半の日程に、カレー店「茄子(なす)おやじ」訪問を組み込んだ。 レコードがかかるオシャレな店内には、のちにテレビアニメ化もされる漫画「うるわしの宵の月」(講談社)の原画のコピーが飾られていた。 注文したのは、1番人気のスペシャルカレー(当時は1500円)。 具だくさんでスパイシーながらも、どこか懐かしさを感じる味に、大満足した。 メニューを見ながら「お会計はいくらかな」と計算していると、ある一文が目に飛び込んできた。 「CASH ONLY お支払いは現金のみとなります」 慌てて財布の中身を確認したら、1100円しか入っていない。 「現金を持ってたらスリに遭うかも」 「東京はほとんどのお店がキャッシュレスに対応してるはず」 そう思ってPayPayにたっぷりチャージしたのが、あだとなった。 「本当に申し訳ありません。国分寺に姉がいるので、お金を取りに行ってもよいでしょうか?」 店員さんに事情を説明すると…