ストーリーあなたをひとりにしない 悲劇で始まった地球の裏とのシスターフッド伊木緑印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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連載「窓」 2人の出会いは、10年前のことだ。 佐野玖仁代さん(81)はブラジル・リオデジャネイロの港で、世界一周のクルーズ船から下りた。 夫の秀夫さんが南大西洋上で意識を失った。船内で髄膜炎と診断され、カーニバルを楽しむ予定だったリオの港から病院へ運ばれた。医療通訳として呼ばれたのが、モニカ・ベローゾさん(39)だった。努力に気付いた 力になりたい 週6日、玖仁代さんのホテルにモニカさんが通う日々が始まった。病院での面会に付き添い、医師の話を訳した。子どもの頃から日本のアニメが好きで、リオの大学で日本語を学んだモニカさん。通訳としては新米で、重篤な患者に関わるのは初めて。自信のない態度で不安にさせないよう専門用語を学び、厳しい病状を伝える時は言い回しに気をつけた。 時には気晴らしに散歩に連れ出したり、ホテルで世界地図を眺めながら船旅の思い出話を聞いたり。船旅は秀夫さんの定年後に始めた夫婦の楽しみで、世界一周は3度目だった。夜遅くなると、モニカさんがホテルに一緒に泊まることもあった。 危篤の夫、慣れない地で長引くホテル暮らし。そんな状況でもできるだけ明るく、前向きでいようとする玖仁代さんの努力に、モニカさんは気づいていた。力になりたい、と思った。 秀夫さんの入院は2カ月半に及んだ。夫婦に子どもはおらず、頼れる人もいない。玖仁代さんはさすがに弱ってきた。現地の領事館から勧められ、秀夫さんを残していったん帰国することに決めた。日本までモニカさんが付き添うことになった。「必ず会いに来る」 約束果たし温泉も 乗り換えのパリの空港で、モニカさんのスマートフォンが鳴った。秀夫さんが息を引き取ったという病院からの連絡だった。 なぜ自分が離れたタイミング…この記事は有料記事です。残り954文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人伊木緑メディア事業本部|朝日地球会議事務局専門・関心分野ジェンダー、メディア、スポーツ関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする