ストーリー始まりは「二つの雑居ビル」 人のつながりから商店街が再生 福島市岡本進印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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JR福島駅前など中心市街地の空洞化が目立つ福島市で、にぎわいを取り戻しつつある一角がある。かつては、市内有数の商業地だった。こだわりの店が次々と開店し、この大型連休中は延べ500人近い人たちが集まった。 福島駅から東へ約650メートル。3階建てのニューヤブウチビルは「県庁通り商店街」にある。始まりは、このビルからだった。 4月26日の日曜日。ビル2階の「本と喫茶 コトウ」には23人の客が訪れていた。ともに市内在住で、歌人の齋藤芳生(よしき)さんと詩人の和合亮一(わごうりょういち)さんの座談会だった。歌集「牡丹(ぼたん)と刺繡(ししゅう)」を刊行した齋藤さんが語る作品への思いなどを、みなが聴き入っていた。 市内の別の場所で古本店を営んでいた店長の小島雄次さん(42)が、このビルに引っ越してきたのは2年前。ビルのオーナー藪内義久さん(47)から「福島を一緒に盛り上げないか」と誘われた。 藪内さんは、老舗眼鏡店の5代目。高校を卒業後、東京に出た。ロンドンの大学でデザインを学ぼうと準備を始めたところ、両親から説得され、2004年に福島に戻った。24歳だった。 周辺はかつて、戦後の福島市の復興拠点だった。福島駅前に移転し、6年前に閉店した「中合(なかごう)」百貨店やバスターミナルも近くにあった。郡部からバスで繰り出した乗客が中合や商店街に流れた。 人口減で経営が落ち込む商店街に東京電力福島第一原発事故が追い打ちをかけ、閉じる店が相次いだ。「行政は何もしてくれない」と、地元からぼやき声が聞こえるなか、「昔に戻すのは難しいが、足を運びたくなる商店街にしたい」と藪内さんは思った。14年に家業を継ぐと、まず手がけたのが、スナックや雀荘(じゃんそう)が入っていたニューヤブウチビルの「刷新」だった。 1階にある自身の眼鏡店には雑貨販売のコーナーを併設。空き室だった3階には、オーガニック野菜の料理店を招いた。震災後に市内であった音楽ライブに来てくれて知り合った長崎県雲仙市に住む経営者を1年がかりで口説いた。 2年前の夏、さらに踏み出す…この記事は有料記事です。残り695文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする