インタビュー「本来の抹茶、どれほどあるか」空前の抹茶ブームの影で 老舗の危惧福岡 龍一郎印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
[PR]
空前の抹茶ブームだ。昨年1年間の抹茶を含む緑茶の輸出量は、71年ぶりに1万トンを超えた。一大産地の京都府宇治市も抹茶バブルの中、同地で茶問屋を営み、抹茶についての著作も多い桑原秀樹さん(76)は「ちゃんとしたお抹茶を届けるのが難しくなっている」と言う。真意を聞いた。 ――昨年はどんな年でしたか。 24歳の時に、茶業の世界に入りました。大学を出た時、3代目社長の父が闘病中で「もう帰ってこい」と。当時、一番大変だったのは茶の仕入れ。先輩方に教えられ、ノウハウを学んでいきました。 でも、この50年間の経験やら何やらが、一切役に立たない。昨年はそんな1年でした。 一昨年の夏くらいからでしょうか。宇治の町で、外国の方が行列をつくってはる。デパートに抹茶を置いたら、その日のうちになくなる。今までの注文が50個や100個だったところがいきなり数千個とか。もう、そんな信じられん数。 ――宇治の抹茶も高くなりました。 抹茶の原料となる「てん茶」の1キロあたりの平均単価をみてみましょう。2024年は初夏の一番茶は5402円でした。それが25年は1万4144円と2倍以上でした。二番茶も2663円から7959円、3倍です。昨年はちょっと不作気味で、お茶の量が少なかったのもあります。 京都では、茶は市場で入札販売がされます。「去年はこの品質のお茶を5千円で買うたけど、今年は高くなっているから」と、2倍の値段で入札しても、買えない。それだけ全世界から宇治抹茶への発注が増えている。 ――理由は何ですか。 インバウンド(訪日外国人客)の方が日本へ来て買われる量は知れています。海外への輸出量がとんでもなく大きい。背景にあるのは、抹茶ラテの人気でしょう。 先日、ヨーロッパに行った知り合いから電話がありました。「ロンドンで抹茶ラテを売るお店が10メートルおきくらいにある」と。【連載】日中の抹茶飲み比べ、宇治の茶商「ちょっとショック」 脅威の中国産 はじめに火がついたのは、健康志向の海外のビーガン(完全菜食主義者)の人だと聞きました。牛乳じゃなくて、植物性のココナツミルクで抹茶ラテをつくるそうです。アメリカや欧州ではこれまでも人気でしたが、サウジアラビアやタイなど中東や東南アジアでも人気が高まっているようです。 ――どう対応していますか。 これまで取引しているところの要望を聞くのでもう精いっぱい。海外からもメールが連日来ますが、今は新規の取引はお断りをしています。 日本の方で連絡がくるのも、○○製茶とか○○茶園じゃなくて横文字の名前の会社がほとんど。少し前に、台湾のタピオカがはやりました。今はタピオカの代わりに、抹茶がもうかるから、と。抹茶が足りず、ほうじ茶ラテの人気が高まり、ほうじ茶も価格が2倍以上に上がっています。 ――抹茶の品薄や値上げで困る人も多そうですね。 いやいや、もう苦情ばっかり…この記事は有料記事です。残り885文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






