ストーリー旧最高裁の巨大壁画に挑戦した堂本印象の「山のアトリエ」初公開へ2026年5月20日 12時30分林利香印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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京都画壇の巨匠・堂本印象(1891~1975)が、最高裁判所旧大法廷の巨大壁画を制作するために建てた「山のアトリエ」(京都市北区)の修復プロジェクトが進んでいる。建物は昨年、国の登録有形文化財に選ばれたが、築75年が経過して老朽化している。今秋の初公開を目指し、クラウドファンディング(CF)で支援を呼びかけている。 アトリエは、金閣寺や龍安寺、仁和寺の世界遺産を結ぶ「きぬかけの路(みち)」沿いにある京都府立堂本印象美術館(京都市北区)の西隣に立つ。1950年ごろ、最高裁から当時の大法廷に飾る大壁画を依頼された印象が、自宅のアトリエでは手狭なため、壁画の作業場として自ら設計した木造平屋建てだ。 特徴は、南面に設けた大きなガラス窓と欄間から注ぐ自然光だ。窓の両脇には高さ約3メートルの壁画を搬出するための細長い扉が備わる。 印象は、この場所で約1年半をかけて、聖徳太子を題材に、裁判官の資質「智(ち)・仁・勇」を示した3部作「間人皇后御慈愛」「聖徳太子憲法御制定」「聖徳太子御巡国」を制作した。現在は最高裁図書館に飾られている。 ほかにも、世界遺産・西芳寺(京都市西京区)のふすま絵や「百年ぐらいは悪口を言われるだろう」という覚悟のもと、大胆でモダンな構想で描いた智積院(京都市東山区)のふすま絵、現在の最高裁判所の大会議室に飾るために制作した抽象画「豊雲」などを描いた。前衛的な挑戦を支えた創作の原点でもある。 歴史的価値が認められ、昨年8月に美術館本館とともに国登録有形文化財となった。印象没後は長らく使われず、床の一部が抜けるなど傷みが激しい。今回の修復では、傷んだ床を張り替え、出入り口の扉を木製扉に復元する。 今年は美術館開館60周年。修復を終え、今秋にアトリエを初めて一般公開する。美術館の田尻篤子副館長は「創造への源となった堂本印象の息吹が宿る記憶の空間。未来に受け継いでいきたい」と話す。 寄付は、CFサイト「キャンプファイヤー」で受け付けている。最終目標額は1千万円で期間は5月31日まで。3万円以上の寄付者には、絶版となった図録の増補改訂版を贈る。 ◇ 美術館がある衣笠エリアは、大正から昭和にかけて「衣笠絵描き村」と呼ばれ、多くの日本画家が集まった。印象は1943年にこの地に居を構え、66年に74歳で自邸の隣に美術館を建てた。外壁の抽象レリーフからドアノブ、イスに至るまで、自らデザインし、建物全体が「作品の集大成」といえる。死後、京都府に寄贈され、92年に府立美術館となった。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする