第8回笑顔と寂しさと…都大会直前、富士森高吹奏楽部が被災地で感じたもの2026年9月8日 18時30分河原田慎一印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

[PR]

8月中旬、都高校吹奏楽コンクールが終わった。今月12日の都大会に進む学校が、詰めの練習に力を入れていた8月末。2年連続で都大会出場を決めた富士森高校吹奏楽部(八王子市)の部員たちの姿は、東日本大震災の被災地にあった。 2011年に被災地を訪れ、14年から毎年この時期に続けている「被災地復興応援活動」は、吹奏楽部が最も大切にしているイベントだ。「心の復興はまだ」 部員たちは「震災遺構仙台市立荒浜小学校」(仙台市)を見学し、震災当時、閖上中学校(宮城県名取市)の吹奏楽部の顧問だった先生から話を聞いた。閖上小中学校や災害公営住宅の集会所でコンサートを開き、子どもたちや住民と交流した。 復興応援活動係のリーダーで、宿舎の手配や活動先の調整などを担当したフルートの鈴木涼胡(りこ)さん(3年)は「見た目は復興しているけど、心はまだ復興していないと感じた」。コンサートを楽しんでくれたお年寄りが、「部屋に帰りたくない」と、部員たちが片付け終わるまで一緒にいて、見送ってくれた。災害公営住宅では隣近所のつながりがないといい、「部屋に帰ると毎日1人」と悲しそうに話す顔が忘れられないという。 閖上小中の子どもたちには、楽器に触れてもらい、「指揮者体験」で一緒に演奏もした。鈴木さんは「コンサートの間は『楽しいな』と思ってもらいたいし、音楽は楽しいよ、ということを伝えたかった」と話す。 準備のためにパソコンに向き合う日が続き、「この係になりたくて吹奏楽部に入ったんじゃないのに」とも思った。でも、子どもたちもお年寄りも、音楽を心から楽しんでくれた。「こっちが元気にさせられて。準備してきてこんなにいいことがあった、と思ったら、やりきれて良かった」都大会の演奏にのせる思い 被災地から戻ると、息つく間もなく文化祭のステージがあった。そして、まもなく都大会の本番がやってくる。 被災地での経験は、コンクールで演奏する音楽にも、何かを与えてくれるはずだ。鈴木さんは言う。「親や先生、仲間の協力があるから頑張れている。宮城に行って、関わったくれた人への感謝の思いを今まで以上に感じた。本番の日も、それを思って演奏するべきだと思う」 アニメ主題歌などのポップス続きだった演奏曲目も、コンクールではがらりと変わる。部長の渡辺紗那さん(3年)は「コンクール曲をポップスの『行け行け』にしないことが課題。昨年の銀賞から、賞の色を変えたい」と意気込む。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

【この記事の続きが読める】有料記事が読み放題のスタンダードコースが初回1カ月無料!詳しくはこちら宅配紙面の購読者なら、ダブルコース半年割がお得です。詳しくはこちら