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外見からは気づきづらい一方、命に関わることもある危険な部活動中の脳振盪(しんとう)。日本の研究チームが、競技別の脳振盪の発生割合を調べたところ、部員1千人あたりの発生割合が突出して高い競技があることが分かりました。研究チームは「競技ごとに脳振盪が起こりやすい場面を意識して、安全管理や予防教育を行ってほしい」と呼びかけています。(withnews編集部・山野拓郎)本人すら気づかない場合も部活動の練習や試合で頭を強く打ったときなどに、脳振盪が起こることがあります。脳振盪は目に見える外見上の変化がないため、本人さえ気づかない場合もあるそうです。頭痛や吐き気、めまいなどを起こし、勉強や生活にも影響します。脳振盪に気づかず過ごしてしまったことで、より重大な症状が現れることもあります。場合によっては命に関わることもあります。早期発見と予防が重要なので、起こりやすいスポーツや場面を把握し、それに合った対策を行うことが求められます。しかし、日本の中学・高校の部活動における脳振盪について、全国規模で多競技横断的に整理した情報は十分ではありませんでした。競技ごとに異なる発生割合そこで、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の国立スポーツ科学センターや、大学などの研究者、医師たちで作る研究チームは、災害共済給付制度のデータを分析しました。2012年4月~2020年3月に中学・高校の部活動中に起きた脳振盪1万1660件(部員数が把握できた24競技の件数)を詳しくみていくと、部員1千人あたりの競技別の脳振盪発生割合は、ラグビーが最も高く8.10でした(全体の件数は2167件)。2番目に多かったのが柔道で1.95(843件)、3番目は空手で1.49(143件)、4番目はサッカーで1.03(3343件)、5番目はレスリングで0.89(18件)でした。以下、ホッケー、ハンドボール、スキー・スノーボード、野球(軟式を含む)、体操の順に発生割合が高いことが分かりました。ラグビーなどの「コンタクトスポーツ」とそれ以外の「非コンタクトスポーツ」で比べたところ、全体の部員数は非コンタクトスポーツが67%を占めていますが、脳振盪の発生件数はコンタクトスポーツが8705件で、非コンタクトスポーツ(2955件)より約3倍多く発生していました。なぜラグビーは脳振盪の発生割合が高いのでしょうか。研究チームは「ラグビーでは、タックル、ラック、モール、スクラムなど、選手同士の身体接触や衝突が頻繁に生じることが背景として考えられます。一方で、今回の研究では具体的にどのプレーで脳振盪が起きたかまでは解析していないため、特定の場面が原因とは断定できません」と話しました。今回、脳振盪のリスクを調べた24競技にはアメリカンフットボール、ボクシング、相撲、アイスホッケー、ラクロスなどは入っていません。研究チームによると、ボクシング、相撲などは部員数データが得られず、アメリカンフットボール、アイスホッケー、ラクロスなどはデータ上で「その他」として一括集計されていたため、個別競技としての発生割合は算出できなかったそうです。ただ、これらの競技も身体接触や衝突を伴うため、脳振盪に注意が必要な競技と考えられるそうです。2年生で多発する傾向脳振盪を起こした生徒の学年は、中学・高校とも2年生が最も多く、全体の44%を占めました。脳振盪が起こった場面は全体で試合が5696件(49%)、練習が5165件(44%)、不明が799件(7%)でした。コンタクトスポーツでは試合で起こったケースが4830件(55%)と多い一方、非コンタクトスポーツでは練習が1872件(63%)で、非コンタクトスポーツでは練習中の発生が多いことが分かりました。研究チームは「非コンタクトスポーツでも、練習中には転倒、着地時の衝撃、器具や地面との接触、選手同士の偶発的な接触などが起こりえます。そのため、試合だけでなく練習中の安全管理が重要です」と指摘します。今回の研究から、脳振盪は特定の競技だけでなく、中学・高校の部活動全体で起こりうることが示されました。国立スポーツ科学センター副主任研究員の福嶋一剛さんは、「指導者のみなさまには、競技ごとに脳振盪が起こりやすい場面を意識し、試合だけでなく日常の練習でも安全管理や予防教育を行っていただきたいと考えています」と呼びかけています。もし、頭痛やめまい・吐き気・ぼーっとする感じなど脳振盪を疑う症状があれば、「無理に続けさせず、その日の活動を中止し、必要に応じて医療機関につなげる体制を整えることが重要です」と指摘しています。論文はスポーツ医学分野の学術雑誌「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に掲載されました。






